京都の住職、沖縄戦日本兵写真持ち主探す 23日「慰霊の日」
戦争末期の沖縄戦当時に米兵が持ち帰り、京都市東山区のNPO法人ユニが持ち主を探している日本兵らの写真が、発見地の沖縄県で展示されている。7月に慰霊祭も行う。探し始めて半年以上、持ち主はまだ判明しない。沖縄戦が終結したとされる23日の「慰霊の日」を前に、ユニの理事遠藤喨及(りょうきゅう)さん(57)は「戸籍さえ焼失した激しい沖縄戦と遺族の高齢化が壁では。写真が沖縄に帰ることが戦争を繰り返さないきっかけになれば」と願う。
写真は1945年に沖縄の海岸で埋められており、海兵隊第6師団の米兵が持ち帰った白黒写真約60枚。軍服の将兵や赤ちゃんなどの写真も含まれる。米兵の親族が知人を通じて持ち主探しを依頼した。
昨秋以降、記者会見やホームページを通じ持ち主を探してきた。写真の人物で特定できたのは、同県恩納村の佐渡山照子さんらが「父親では」と名乗り出た2人だけ。民間人約10万人が巻き込まれ死亡した凄惨(せいさん)な地上戦。那覇市でも12月に記者会見し、「赤ちゃんの人物が親族ではないか」との電話など数件の問い合わせはあったが、手掛かりはなかった。
遠藤さんは「平和憲法を否定する動きのある時期に写真が出てきたのは、戦争で亡くなった方がこのままだといけないと危ぶんでいるからだと思う」とし、「写真と切れた縁は、戦争がいかに悲惨かを物語っている。過去を弔うだけでなく、同じことを繰り返さないきっかけにしたい」と話している。
写真展は、持ち主探しと、大切な写真の由来も分からなくなる戦火の悲劇を語り継ごうと、沖縄に関する資料を収集する「うる文化協会」(同県南城市)が企画。7月6日に慰霊祭を開き、浄土宗の住職である遠藤さんやキリスト教の牧師、沖縄の民間信仰のユタらを招き、写真にまつわる人や沖縄戦の戦没者を悼む。
大田昌秀元同県知事が設立したNPO法人沖縄国際平和研究所での展示も検討している。
【 2014年06月22日 09時10分 】