番外編 社会人がFacebookを炎上、情報漏えいさせないためのケーススタディ(2/4)
事例1:SNSガイドラインの整備
<事例>
仕事で嫌なことがあったある日、あなたは、自分のFacebookのページに、感情にまかせて「こんなブラック企業辞めてやる」と投稿してしまった。後日、その投稿を発見したお客様から、お客様相談室に「会社としての対応や社員教育に関する」問い合わせが寄せられた。
<解説>
Facebookへの投稿によって会社のブランドイメージを損ねてしまった事例です。公開範囲が「公開」に設定されたFacebookへの投稿は、あなたのアカウントを知る人物がその投稿を見ることができることはもちろん、アカウントを知らない人物でも閲覧することが可能です。また、公開範囲が「公開」に設定されたFacebookへの投稿は、Yahoo! の「リアルタイム検索」によって検索が可能です。これは、任意のキーワードで検索すると、TwitterやFacebook上で当該キーワードを含む投稿内容が検索できるというもので、もちろん誰でも利用できるものです。「リアルタイム検索」についてはこちらに詳しく解説しています。
【参考】
・第1回 発言内容や情報の公開範囲に潜む落とし穴〜Facebookを炎上させないための3つのポイント〜
社会人であればブランドイメージを損ねる言動は慎むべきことは理解しているでしょう。しかし、私的な発言や、お客様や会社に対しての愚痴といった不適切な発言はSNS上に投稿した時点で、不特定多数の人に検索され、発見されてしまう可能性があります。さらに、Facebookの基本データに勤務先等の情報を登録していると、投稿内容をきっかけに勤務先が特定されてしまい、炎上事件に発展する可能性があるのです。
<対策>
このようなブランド毀損を防止する対策について解説します。個人が投稿内容に十分気をつけることも大事ですが、会社でもソーシャルメディアの利用方法についてのガイドラインを整備するとよいでしょう。ガイドラインが整備されていると、投稿の指針となり、お互いの共通認識となるからです。
ガイドラインには最低限、以下の3つのポイントを盛り込みましょう。
(1)社会的なルールを守る
・個人情報ならびにプライバシーの保護
・名誉毀損はしない
・機密情報の保護
・著作権、肖像権、商標権の尊重と保護 等(2)発言は相手への思いやりを忘れない
・誹謗中傷や差別的表現の禁止
・価値のある情報を提供
・やらせ行為の禁止
・誤りを指摘された場合、事実を確認し、真摯に対応する 等(3)私的見解であることを明示
ソーシャルメディアを利用するにあたり、発言内容が私的見解であり、会社を代表する発言ではない旨(免責文)を必ず自己紹介欄に明記する
なお、企業が定めるSNSガイドラインの参考として、IBM社や日本コカ・コーラ社の事例をご紹介します。
【参考】
・IBM ソーシャル・コンピューティングのガイドライン - Japan
・コカ・コーラシステムソーシャルメディアの利用に関する行動指針: 日本コカ・コーラ株式会社 Coca-Cola Journey
次に、個人の運用ルールとして、勤務先情報の公開範囲の制限方法をご紹介します。Facebookの基本情報には、「性別、生年月日、言語、宗教観」「職歴と学歴」「自己紹介」「出身地と居住地」「連絡先情報」などの情報を登録することができます。しかし、勤務先を公開することにより、私的見解が公的見解と誤解される恐れがあります。そこで勤務先の公開範囲の制限、および登録内容を削除するための設定をご紹介します。
デスクトップのFacebookサイトのTOPページ、左上の自分の名前をクリックし、タイムラインに移動します。「基本データ」を選択し「職歴と学歴」で右にある「編集」をクリックします。公開範囲のプルダウンメニューで「自分のみ」を選択します。「編集を終了」をクリックし変更内容を保存します。
なお、個人のSNS利用のルール作りについてはこちらにも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
【参考】
・第2回 Facebookを安心して利用するために自分なりの運用ルールを決めておこう
監修者プロフィール
守屋 英一(もりや・えいいち)
シニアセキュリティアナリスト
2001年、インターネットセキュリティシステムズ(ISS)入社。セキュリティオペレーションセンター(SOC)におけるセキュリティエンジニアを経て、2007年に日本IBM株式会社入社。2012年からIBM CSIRTを担当。社外活動として、日本シーサート協議会運営委員などを務める傍ら、2012年6月、エンドユーザー視点でソーシャルメディアのセキュリティリスクについて解説した『フェイスブックが危ない』を上梓するなど活発な情報発信を続ける。