有人火星探査:2030年代後半に実現を…日本も長期目標
毎日新聞 2014年05月30日 19時25分(最終更新 05月30日 20時37分)
文部科学省は30日、国際協力で進める宇宙探査の長期目標について、「火星への有人探査」を掲げた案を公表した。火星には長期滞在や資源利用などの可能性があり、挑戦する意義があるフロンティアだとしている。2030年代後半の実現を想定している。
案では月探査、無人の火星探査を経て、必要な技術を開発・実証する。技術開発では、国際宇宙ステーション(ISS)を最大限活用し、コスト軽減を図る。
宇宙探査を巡っては、昨年8月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など世界の12機関が20年代に月周辺の有人探査、30年以降に有人火星探査実現を目指す行程表を策定。今年1月には日本、米国、ロシア、中国など35カ国・地域による閣僚級会合「国際宇宙探査フォーラム」で、火星を目指すことを確認した。
今回の案は、次回のフォーラムが16〜17年ごろに日本で開催されることをにらみ、日本が宇宙探査の枠組み作りを主導する狙いがある。今後、文科省科学技術・学術審議会の小委員会が妥当性などを議論し、7月をめどに方針をまとめ、国全体の宇宙政策を立案する内閣府宇宙政策委員会に報告する。
だが、米国は30年代、中国は50年代に人類を火星に送る方針を公表。ロシアも30年までの有人月探査の計画を掲げるなど、日本の議論は遅れ気味だ。【大場あい】