消費者物価:3.2%増…23年ぶりの上昇幅 4月

毎日新聞 2014年05月30日 09時47分(最終更新 05月30日 13時13分)

 総務省が30日発表した4月の全国消費者物価指数(2010年=100、生鮮食品を除く)は、4月に消費税を5%から8%に引き上げた影響で、前年同月比3.2%上昇の103.0となり、11カ月連続で前年の水準を上回った。上昇幅は1991年2月以来、23年2カ月ぶりの大きさだった。前年同月比の上昇幅は前月と比べて1.9ポイント拡大しており、消費増税の影響が色濃く反映された。

 甘利明経済再生担当相は「順調に消費税が転嫁されつつあると評価したい」と述べた。物価上昇の傾向について、総務省は「物価上昇の基調は当面続くとみられる」と説明している。

 調査対象の524品目のうち、469品目が前年同月から上昇、増税の影響などで幅広い品目が値上げされた。キッチンペーパー(前年同月比11.2%上昇)などの家具・家事用品(同5.4%)、宿泊料(同7.4%)などを含む教養娯楽サービス(同4.1%)などで増税相当分以上に上昇した。

 日銀は、消費増税の影響について「前年同月比1.7%分押し上げる」と試算していた。増税転嫁分を上回る伸びとなったことについて総務省は「原材料価格の値上げなどで増税分以上の転嫁があったのではないか」と指摘した。

 食料とエネルギーをのぞく指数も前年同月比2.3%上昇して100.6となり、7カ月連続で上昇した。

 一方、同日発表された東京都区部の5月の消費者物価指数(中旬速報値、生鮮食品を除く)は、前年同月比2.8%上昇の102.0だった。消費増税の経過措置で5月から引き上げられた電気代などが反映されたが、4月の上昇幅(2.7%)から0.1ポイントの拡大にとどまった。日銀は「5月以降の消費増税の影響は1.9%分」と試算しているため、5月の上昇幅は実質的に0.9%で、4月(1.0%)より縮小したことになる。市場では「家電などに値下げ圧力が強まっている」(アナリスト)との見方も出ている。【竹地広憲】

 ◇解説 景気先行き、予断許さず

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