社会

フットサル場の深夜営業に波紋 藤沢で騒音照明被害で住民反発

 湘南ベルマーレの関連団体が藤沢市大庭の公有地に開設したフットサル施設が、波紋を広げている。営業時間が深夜に及ぶため、地域住民が騒音や照明の光害を訴えて反発。営業時間短縮に関する両者の協議も平行線のままだ。事前の住民側への説明が不十分だった上、公有地が新交通システム導入を視野に取得された経緯もあり、行政への批判も強まっている。

 フットサル施設は4月上旬から、NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ(平塚市中堂)が運営。閑静な住宅街の一画にある約6300平方メートルの公有地に4面のコートを設け、午後10時半まで営業している。

 土地の所有者は市開発経営公社。遊休公有地の有効活用を図ろうと、昨年11月の理事会で賃貸を承認した。

 だが、地元のふじ自治会(180世帯)は、特に夜間におけるプレー中の騒音や、夜間照明、出入り車両の増加を問題視。良好な住環境が脅かされているとして昨年12月から、営業を午後8時で切り上げるよう施設側に求めてきた。

 これに対し施設側は、営業時間の短縮は事業継続に支障を来すと主張。施設オープン後、自治会側が午後9時、施設側が午後9時半の譲歩案をそれぞれ示したが、「30分」の溝が埋まらない状況が続いている。

 こうした事態を生み出した一因があるとして、批判にさらされているのが同公社と市だ。同自治会は市議会に営業終了を午後9時とするよう求める陳情を提出。6月定例会で審査されたが、市議から住民説明の在り方に異論が噴出した。理事会承認後に同クラブ側が説明会を行っただけとする市側の答弁に対し、「(承認前に)行政側が何の説明もしないのは理解できない」「市も公社も、対応はずさんで怠慢」などの声が上がった。

 さらに、事情をややこしくしているのが、当該用地がJR辻堂駅から北に延びる新交通システム導入を見越し、22年前に先行取得した土地だったことだ。同システムは昭和50年代前半からある市の構想だが、実現に向けた具体的な動きは今のところない。今回、同公社と同クラブが結んだ契約期間は15年という長期だったため、市議からは「新交通システムは(導入しないと)方針転換したのか」「(そういう用地を貸す以上)市議会に事前に説明があるべき」と批判された。

 市側はこうした批判や指摘に「反省している」と陳謝。営業時間に関する両者の仲介に積極的に乗り出すとした上で、「午後9時半の方向で調整し、様子を見てほしいというのが市の考え方」(石井恒男副市長)と説明した。

 同自治会ベルマーレ対応委員会の井上吉夫委員長は「住民無視のあり得ない契約。市の答弁はベルマーレ寄りで住民側に立っていない」と憤慨。「野外照明がある他の市施設は午後9時で終了している。民間運営とはいえ、公有地である以上、同じ条件を適用すべき」と訴えている。

【神奈川新聞】