STAP偽装細胞問題を対理研提案書に添って丁寧に考えているこの連載、韓国で発生した「クローンES細胞詐欺」に焦点を当てた次回稿を準備していたのですが、『新潮45』誌に注目すべき報道が出、予定を変更して、虚偽学術情報発信によるインサイダー取引の問題を検討したいと思います。
正直申して随分早く出てきたな、というのが感想で、6月半ば過ぎの段階でここまで話が進むとは思っていませんでした。
逆に6月にあると思われた懲戒など理研の処分は、様々な思惑で即解決とはならなさそうな雲行き。今月この問題は動くと思っていましたが、推移をよく観察する必要があると思います。
「STAP論文捏造事件」
新潮45誌に発表された「『STAP論文捏造事件』その金脈と人脈」(小畑峰太郎+新潮45取材班)(7月号p.18-)は、思い切った内容に踏み込んだ力の入った記事で、久方ぶりに「社会の木鐸」という言葉を思い出しました。
記事の詳しい内容は新潮45誌に譲るとして、ここでの大きなポイントを挙げてみましょう。
1 エコノミスト誌 5月20日号に既報の『「STAP銘柄」にインサイダー疑惑』
の内容が確認され
2 上記事でSTAP発表とともに株価が急騰した「セルシード」社の沿革などが記され
3 セルシード社の社外取締役である岡野光夫・前東京女子医大副学長、その部下で、小保方晴子氏の指導教官、STAP論文の共著者でもある大和雅之・東京女子医科大学教授らのインサイダー取引の疑いが、USB証券からのセルシード社への融資経緯など説明ののち
4 米国ではとっくに時代遅れになりつつある「特許」「科学研究」「インサイダー」三位一体の経済犯罪が、法規制の進んでいない日本に持ち込まれ、あざとく利ざやが抜かれた可能性
を淡々と説明しています。お茶の間でゴシップとしてSTAP騒動を楽しもう、という以上の真剣な興味をお持ちのかたには、ぜひこの記事の一読をお勧めしたいと思います。