■ ギリシャ戦はMOM級の活躍だった内田篤人初戦のコートジボワール戦を落としたため「絶対に勝ちたい試合」となったW杯のGLの2試合目のギリシャ戦は0対0の引き分けに終わったが、この試合でMOM級の活躍を見せたのは右SBのDF内田である。初戦のコートジボワール戦も「日本の選手の中では数少ない自分のプレーができた選手」だったので、W杯という大舞台で攻守両面に渡って良さを出すことに成功している。
毎度、個人的に行っている日本代表戦の後の採点&寸評では、ギリシャ戦のDF内田のパフォーマンスを「6.5」と評価して、相手の選手も含めた全選手の中からマン・オブ・ザ・マッチに選出している。引き分けに終わったので「6.5」となったが、勝っていたら「7.0」でも良かった。引き分けだったので「0.5点」をマイナスしているが、いずれにしても活躍が目立った選手である。
DF 内田篤人 6.5 (MOM)
→ 惜しくもゴールにはつながらなかったが、積極的な攻撃参加で右サイドから何度もチャンスを作った。クロスのタイミングや質も非常に良かったので、この試合における一番の武器になっていたが、あと少しのところで味方に合わないシーンが目立った。後半26分の逸機の場面は悔やまれるが、枠に飛ぶようなシュートを打っていたら相手にブロックされた可能性は高いだろう。 → #806 2014/06/16
日本 vs コートジボワール 採点&寸評 → #810 2014/06/21
日本 vs ギリシャ 採点&寸評
■ 再生映像をリアルタイムのプレーと勘違いしたのか?しかしながら、ギリシャ戦のDF内田を低評価した人もいて、日本を代表するサッカーメディアの1つと言える週刊サッカーダイジェストはギリシャ戦のDF内田を「5.0」と評価しているという。(その下は4.5のFW大迫とMF岡崎。)「身体を張ってカウンターの芽を摘んだが、センタリングの精度が低い。同じ球種のクロスを繰り返す姿は、再生映像でも流れていたかのよう。」と酷評している。
「センタリング」という死語になりつつある言葉を使っていることを考えると年配の人が採点していると想像できるが、ここに書かれているとおりで、何度か流れた再生映像をリアルタイムのプレーと勘違いして評価を下してしまったと推測する。後半23分のDF内田のクロスからMF大久保が決定機を逃したシーンは何度も繰り返し流れたので、年配の人が勘違いするのも無理はない。
選手の評価というのは難しい。ゴールや決定機につながった目立つプレーだけを高く評価する人もいるし、黒子のプレーを高く評価する人もいるし、黒子のプレーを高く評価しない人もいる。このあたりのさじ加減は人それぞれで、このあたりの自由さもサッカーの面白いところであるが、あまりにもズレた寸評や採点になってしまうと、寸評や採点を行った人に対する評価が下がってしまう。
中には自分の「好き・嫌い」を全面に押し出して選手のパフォーマンスを評価する人もいるが、個人的にはちょっと信じられないことである。少しでも事情に詳しい人が文章を読んだり、発言を聞いたら、すぐに分かることである。自分に対する評価を下げるリスクがあるにも関わらず、「好き・嫌い」で評価してしまう行為については理解不能であるが、そういう人は少なくない。残念なことである。
本件は「勝って当たり前」と勝手に格下扱いしていたギリシャ戦を相手にスコアレスドローに終わって、頭に血がのぼった状態で採点と寸評を書いてしまった可能性も否定できないが、いずれにしても、他者を評価するときは慎重になるべきであり、公になる前に冷静になるべきだった。(※ サッカーダイジェストの上層部の何人かが集まって出した寸評&採点がこれだとは考えたくない。)
■ 無責任で、的外れな、最低の採点もちろん、ギリシャ戦は残念な結果に終わったが、「チームに対する評価」と「選手に対する評価」は冷静になって行うべきである。そして、期待された結果が出なかったからといっても全てがダメだったかというとそういうわけではない。いいプレーができなかった選手もいるが、いいプレーができた選手もいる。DF内田の場合は明らかに後者であり、個人としては高く評価されるべきである。
今回のギリシャ戦のようにチームとして思うような結果が得られなかったとき、一番、楽なのは「全てを否定してしまうこと」である。結果が出なかった以上、良くなかった部分や至らなかった部分がたくさんあるのは間違いないが、「良かったところ」と「良くなかったところ」をきちんと整理しないと次の機会(=コロンビア戦であったり、2018年のロシアW杯)に生かされない。
4年間の集大成であり、本番と言えるW杯の舞台で結果が出なかったケースで監督や選手が批判されるのは仕方がないが、「これで終わり」というわけではない。感情的になりがちなときはいつも以上に冷静に物事を判断すべきであるが、サッカーダイジェストの採点&寸評は極めて悪い例であり、fukutsu氏が述べている通り、「
無責任で、的外れな、最低の採点」と言われても仕方がない。
監督なり、選手なり、サッカー協会なり、スケープゴートを作って、W杯後にリセットボタンを押してしまえばOKな話かというそうではない。W杯のたびに前政権を全否定してリセットボタンを押してしまうようでは、何もかもがゼロからの再スタートになる。それは全く効率的とは言えないし、こうなるとブラジルやドイツやイタリアといった世界トップクラスの国に追い付くことは永遠に無理である。
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