今週末より来週末にかけて開催中のプライドを大満喫しているキャシー。
仕事も忙しい時期だけど、こうして街全体が性の多様性を祝福するなんてステキじゃない。
だから寝る間も惜しんで、楽しそうなイベントにはできるだけ参加しているわ。
そんなポジティブで愉快なプライドなんだけど、たまにネガティブなことにも出くわす。
今夜はトロント全体でオールナイトのプライドアートショーがあったので。
ローカルなアーティストによる展示やスペシャルイベントを楽しんでいたのね。
そんな中、知り合いと久々に会ったので世間話をしていたのよ。
この方とは、トロントに来たばかりの頃に知り合ったので、出会ったのは6年も前。
ただ、その6年間、実際に話をしたのはたったの数回で、そこまで深い繋がりはない。
そんな他愛もない世間話のはずが、だんだん様子がおかしくなってきて。
彼の口からこんな言葉が飛び出した。
「あなたが書いたブログのせいで…
この3年間自殺を考えたくらい苦しめられた。」
そんなことを急に言われて、ショックで頭の中が真っ白になった。
あたしのブログ、下ネタとゲイネタとたまに社会ネタしか書いてないけど。
誰かを自殺したいと思わせるほど追い込むような内容なんてあったかしら?
こういう時こそ、感情的にならないでアクティブリスニング。
話を聞けば、あたしがブログで差別や偏見について触れたことが原因だったとか。
いつだったか、トロントのゲイコミュニティでは人種差別が根強く残っていて。
人種でモテたり、モテなかったり、アジア人という理由で拒絶されたりすることがあると。
そうした現状を、あたしが見て感じたたままに何回か書いたことがある。
どうやら、彼はその記事を読んで自分の置かれた状況に悲観的になったらしく。
「ゲイやアジア人じゃなければこうして苦しむことはなかった!」
「ゲイとか気持ち悪いし、アジア人のゲイとかもう大っ嫌い!」
「こんな風に苦しんでいるのも全部あなたのせいだからね!」
とマシンガンのようにネガティブな言葉を浴びせてきた。
あたしの書いた記事を、彼がそうやって受け止めてしまったのは本当に残念。
そうした内容を書いた理由を説明しようにも聞く耳を持たない状況で。
「気持ち悪い!近寄らないで!」
と思いっきり睨まれてしまって。
この人、本気で怒っているということを実感した。
ちなみに、うちの彼はこの時すぐ側にいたんだけど。
日本語で繰り広げられるやり取りに取り残され、ポカーンと見ていた。
こうして会話を続けてももう有意義な話はできないと思ったので。
「フィードバックありがとう。また何かあったときは、いつでも連絡して。あたしなりに助けになるので。」
と締めくくったんだけど。
「もう本当に関わらないで!」
と怒鳴られてしまった。
いや、そもそも今まで関わってないし、ブログを読ませたわけでもないんだけど…。
もはや、そういう問題ではないのよね。
彼の心の内を知ることはできないから、ここからは推測になるんだけど。
彼は社会の中にあるゲイやアジア人に対する差別や偏見を内在化しているように思う。
そうして湧き出た不平や不満のやり場に困り、簡単に状況を改善することができないことで。
彼を苦しめていた差別や偏見を文字化したキャシーに怒りの矛先が向いたのかもしれない。
もしかしたら、もっと複雑な心理状態なのかもしれないし、もっとシンプルなのかも。
結局、本当のところは彼にしかわからない。
こうした時、自分と同じ苦しみを共有する人たちとコミュニティを築けるといいんだけど。
差別や偏見が内在化すると、苦しみの原因が自分や自分と似た相手だと思ってしまうので。
社会の中にある差別や偏見が苦しみを生み出しているということを理解できなくなる。
そうやって、自分自身を隔離してしまって、余計に孤独や苦しみを感じてしまう。
なかなか難しいところだわ。
彼の場合、それがゲイとアジア人である自分。
そして似たようなキャシーに原因があると思ったのかもしれない。
しかし、もしあたしがこうした差別や偏見を生み出している原因なら。
自分自身も被害を受けているんだから、今すぐそれを止めているところよ。
最後に、彼はこう言っていた。
「今日これをあなたに言えてスッキリした。」
向こうだけスッキリしてもあたしはスッキリしなかったので。
自分の考えをまとめるために、少し夜更かししてこの記事を書くことにした。
「もしこれを読んで不満を感じたら、いつでも連絡して。」
納得するまで対話する覚悟はできてるわ。
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