新電力:破綻で工事ストップ 損失2億円 虚像に惑わされ

毎日新聞 2014年06月22日 13時50分(最終更新 06月22日 17時59分)

債権者が「工事が途中で放棄された」と訴える長崎県雲仙市の太陽光発電設備=鈴木一生撮影
債権者が「工事が途中で放棄された」と訴える長崎県雲仙市の太陽光発電設備=鈴木一生撮影

 新電力会社で初めて大規模な経営破綻が明らかになった太陽光発電設備販売会社「Global Energy Japan」(旧ロハス電力)。破産直前にG社に太陽光発電所建設を発注していた業者は、G社の破産により工事が途中でストップし、多額の損失を抱える事態になっている。

 「新電力が創り出す新しい“スマートコミュニティ”のカタチ」。昨年9月、目を引く宣伝文句が並ぶパンフレットを持参したロハス電力(現・G社)の幹部が、仙台市青葉区の不動産会社に太陽光発電所の建設を持ち掛けた。

 不動産会社はメガソーラー(大規模太陽光発電)の建設予定地を探す中でG社の紹介を受けた。勧めに応じて、長崎県雲仙市に1・9メガワットの発電所の設置を決め契約を締結した。G社が建設を請け負い、実際の工事は別の業者に委託する形で、総工費は約7億円。11月末までに前金として計2億円を支払った。

 しかし、関係者によると、この頃までにG社は融資を打ち切られ、資金繰りは急速に悪化。12月末までにこの不動産会社を含む4社から計約7億円超を工事代金の前金として受け取っていたが、工事の大半が行われなくなっていたという。

 雲仙市の工事は今年1月までにストップ。不動産会社側は契約の履行を迫ったが、役員のほとんどは退任し、2月になると、1人だけ残った社長との連絡も途絶えた。3月には一部の債権者の申し立てにより、福岡地裁が会社の預金口座の仮差し押さえ命令を出したが、7億円以上の資金がすでに関連会社などに移された後だったという。その後、工事は別の業者に委託した。

 G社は東日本大震災後に住宅向け太陽光発電設備の販売で急成長し、2012年には九州経済連合会も入居する九州電力系列のビル「共創館」(福岡市中央区)に本店を移転。法人向けのメガソーラー建設にも進出し、顧客には新電力としての事業構想と共に「九電とのパイプ」も強調していたという。

 「電力会社のビルに入っていたので信用したが、見せかけだけの会社だった。新電力といっても、虚像にすぎなかった」。2億円の大半を失う見込みの不動産会社幹部はそう憤った。【比嘉洋、鈴木一生】

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