想像への旅17.141306 赤木しげる研究6

1 Intro
2 3つのアイディア
3 裁定とトレードオフとカードダス
4 メディアとネットワーク
5 知識と知性
6 構造で理解する
7 鴎印の調教術
8 想像の鍵
9 まわりはさすらわぬ人ばっか。少し気になった。
10 唯光論
11 全てはベクトルになる
12 明日のことはわからなくても1,000年後のことは分かる
13 俺たちはセンスが良過ぎる
14 君より3倍凄い人間はいない
15 ロックとポップとハードコア
16 愛の真実
17 持続可能な発展に向けて
17.02 ロックを転がすために
17.0202 3周しろ
17.0704 未来のパーソナルメディア
17.1413 赤木しげる研究

ひろゆき
はぁ…?

赤木
お前は
その「まとも」………
「正常であろう」っていう価値観と
自分の本心…魂との
板ばさみに苦しんでいたんだ…!
振り回されてきた…!
その「まとも」「正しさ」に………!

ひろゆき
(……………………)

赤木
考えてみろよ
「正しい人間」とか「正しい人生」とか…
それっておかしな言葉だろ…?
ちょっと深く考えると
何 言ってんだか分からないぞ………!
気持ち悪いじゃないか…
正しい人間………
正しい人生なんて…!
ありはしないんだって…
そんなもの元々…!

    ∩00  ∩ 
 ⊂ニニ ⊃ ⊂ ニ )-- 、 
  ,. ---ゝ )   | レ'/⌒ヽヽ     
. ( (´ ̄ ̄   / /     ノ.ノ ○ ○ 
  ヾニニ⊃ `'∪ ⊂ニ-‐' 

赤木
ありはしないが…
それは
時代時代で必ず表れ…
俺たちを惑わす…
暗雲…!
俺たちはその幻想をどうしても振り捨てられない…!
一種の集団催眠みたいなもん………!
まやかしさ……
そんなもんに振り回されちゃいけない…!
とりあえずそれは捨てちまっていい…
そんなものと勝負しなくていい…!
そんなものに合わせなくていい…!
つまり…
そういう意味じゃ…
ダメ人間になってもいい…!

ひろゆき
うっ…!
(………………)
赤木さん………

赤木
フーーーーー…
話しておきたかったんだ……
今日それだけは………
ひろに…!
フフ…
いかにもお前…
そのへんにひっかかってそうだったからよ…!

ひろゆき
赤木さん…!

赤木
さぁ…
さぁ…!
もう…漕ぎ出そう………!
いわゆる「まとも」から放たれた人生に…………!


ひろゆき、庵を出て赤木との会話を思い出す

赤木
さあ…漕ぎ出そう……!
いわゆる「まとも」から放たれた人生に…!

無論…気持ちは分かる…!
誰だって成功したい……!
分かりやすい意味での成功…
世間的な成功…!
金や地位 名声………
権力 称賛………
そういうものに憧れる…
欲する…!
けどよ……

ちょっと顧みれば分かる…!
それは「人生そのもの」じゃない…!
そういうものは全部…
飾り…!
人生の飾りに過ぎない…!

ただ…やる事…
その熱…行為そのものが…
生きるってこと………!
実ってヤツだ…!

分かるか…?
成功を目指すな……と言ってるんじゃない……!
その成否に囚われ……
思い煩い……
止まってしまうこと……
熱を失ってしまうこと…
これがまずい……!
こっちの方が問題だ…!

いいじゃないか…!
三流で…!
熱い三流なら
上等よ……!

まるで構わない………
構わない話だ…
だから…
恐れるなっ…
繰り返す……!
失敗を恐れるなっ……!


ひろゆき
うっ…!
うぐぐぐっ…………!
ぐっ…!

そこに原田が現れる

ひろゆき
原田さん……!

原田
フフ…

原田、靴下のまま地面に踏み出す

ひろゆき
え…?


(?…)

原田
………なんだかよ………
縛られてるよな…
これっぽっちのことでも…

ひろゆき
は…?

原田
フフ…
たかだか……
靴を履かずに庭に下りる…
この程度のことでも…
縛られている……!

ひろゆき
(…………)

原田
普段はやらねぇ……!
俺は今無理してやっているだけだ………!
しかしそもそも…
なんでそういう事をしちゃいけないかというと
靴下が汚れないようにとか…
このまま上がれば廊下が汚れるとか…
その程度のことだ
でも…
そんなものこうして
払えばいいだけのことだろ…!
だから……
もし気分が動けば…
どんどん歩けばいい……!
何の不都合もあるもんか…!

ひろゆき
(……………)

原田
歩けばいい……!
気兼ねをせずにどんどん
しかしどうもそれが出来ない…
こんなちっぽけなことも…
晴れ晴れと出来ない…!
不自由だ……
訳も分からず……!

ひろゆき
(……………)

原田
あいつ……
赤木は……
歩くだろう……!
何も気にかけず
スッ…と庭に下りるだろう……!

ひろゆき
(……………)
(……………)
(……………)

原田
何と言われた……?

ひろゆき
(……………)
成功しなくていい…と

原田
(…………)

ひろゆき
それは飾りだと……!
成功とか失敗とか人の目とか………
そういうことから放たれろ……と
人生の実は
ただ生きることの中に…!

ひろゆき、目線を上げフッと原田を見る

ひろゆき
(うっ…!)
(なんて弱弱しい背…!)
(関西有数の暴力団の組長で)
(怖いものなど何もない…)
(原田克美……)
(本来なら……)
(俺なんか口も利けない人間…)
(けど…)
(似てる……!)
(この人は………俺に……!)
(この人も……)
(対照的な人生…)
(あの赤木しげると……!)
(人生の実は…)
(ただ生きることの中に…!)

原田
そうかい…
そんな事をのたまわっていたかい…

ひろゆき
(………………)
はい…

原田
ククク…
そういう話を…
青臭いとか…
今さらとか…
いろいろケチつける事は出来るが………
じゃあ…
代わりに何があるのかといったら…
たぶん…
何もない…!

ひろゆき
(……)

原田
おそらくはそこらへんで…
決着がついているんだろう…
その手の問答は…!
あとはその言葉通りに…
つまり…
ただ生きること…
その充実や輝きに
そのまま実身を任せられるかどうか…って話かもしれねぇ…!
損得や孤立や
常識を振り切り…
ただ…生きる…!
生きたいように…!
ククク…
(…………)
おかしいな…
俺もそうしてきたつもりだったんだが…
どこでこんな風になったのか…
そう…
入り口は
確かに上手くいっていた…!
生きたいように生きている
そんな実感があった…!
それが…
どういうわけか…
途中からおかしくなった………!
プラスがプラスでなくなった
赤木に言わせりゃあ
それはどうも当然のことらしい…

ひろゆき
(………)

原田
積み過ぎると
たいていそうなるんだと………!

ひろゆき
積み過ぎ……?

原田
ああ…
どうも成功し過ぎるってのはヤバイらしいぜ……
成功してくってことは…
生まれた時持っていなかった
いろいろな代物…
肩書きや金や
権力 プライド…
そんなもろもろの飾りを
体中に次々…
貼り付けていくような作業…
言うなら…
ハダカの自分から
どんどん遠ざかっていく作業だ…!
気が付きゃあ…
そういうもろもろの飾りでコーティングされ
その中に埋もれた自分しか見えなくなる…!
無論…
何もそれは悪いことばかりじゃない
それによって守られてもいるんだ…!
いわゆる貧困や貧窮
あるいは…
苦渋…
人から軽んじられたりするみじめさから…!

ひろゆき
(………)
(………)

原田
しかし…
同時に動けなくもなった…!

ひろゆき
(………)
(………)

原田
体中にまとわりついている飾りが
俺から軽快さ…
自由に振る舞う精神…
そんな柔らかさを奪っていった………!
確かに
このこの飾りのおかげで
誰もが恐れ入ってくれる自分になれた…!
だが…
よく考えると
その事と俺が「生きる」って事とは
まるで関係ない話だ…!
別問題…!
だいいち…
恐れ入るといっても………
周りの連中は
俺自身に恐れ入ってるわけでなく…
俺の肩書きや権力…
そういう飾りに恐れ入ってるわけで
結局…
何が何やらわからない…!
空洞化だ…!
気が付きゃあ…
俺自身がどこにもいないっ…!

ひろゆき
(………)
(………)

原田
クククク…
となりゃあ…
さっさと今の座から降りて
別人生を歩き出しゃあいいようなもんだが…
話はそうは単純じゃねぇ…!
笑われるかもしれねぇが
俺からすればその「飾り」が俺の証っていうか…
やっぱり「誇り」でよ………!
失いたくねぇんだ…
営々とせっかく築いたことでもあるしな…
結局…
袋小路…!
解けない知恵の輪だ………!
不自由で実感薄い人生なのに
失いたくないという………
訳の分からぬ…
ジレンマ
せめぎあいだ…!
それに
仮に降りたとしても…
俺は積んでいく以外…
この人生を
どう扱っていけばいいのか…
分からねえっ………!
赤木の言う…
適当なところで
平らにするなんて
分からねぇ………!
結局…
俺は赤木って男の感性 考え方が
分からねぇ………!
実感できねぇ………!

ひろゆき
(………)

原田
奴は…
金とか地位…名誉…
そういうあらゆる「プラス」から
次々に手を離していった男だ………
いつも空手に近い…
手ぶらで…
軽装…!
手にしてるのは僅かな金と身の回りのいくつか…
あとは自分自身だけ…っていうそっけなさだ…!

ひろゆき
(………)

原田
わけ分からねぇ…!
おまけに
今日はその残った自分自身さえ
捨てちまおうって酔狂ぶりだ………!
普通じゃねぇよ…
異様過ぎる…!
言うなら妖怪…
物の怪の類よ…!
ひろ…!
奴はとても俺たちの手に負える代物じゃないぜ………!

ひろゆき
(………)

原田
仮に…
何%か奴が「生きたい」と思っていたとしても
俺たちじゃ手も足も出ねぇ
唯一…
俺たちの中で
何とか出来そうな男といったら…
積む事に固執しない………
赤木と同じ匂いのする…
あの男しかいない…!

ひろゆき
(………)
(………)
(………)
はい…

ナレーション
そう…!
託すしかない…!最後の一人に…!

さて、長かった引用もここまでだ。この先、主人公の天が赤木の自殺を止められるかどうかは自分で『天』を買うなりして確かめてくれ。
鬼才赤木しげるのことがもっと良く知りたかったら、連載中の『アカギ』も読むといいだろう。

ではいよいよ赤木しげるについての俺の考えを明かそう。
赤木しげる研究7に続く。



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by wavesll | 2007-07-20 12:14 | 想像への旅 | Trackback(1) | Comments(0)
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