海外への留学生倍増計画など、世界で活躍できるグローバル人材育成に力を入れる日本に、各国が熱い視線を送る。「ビジネスチャンス」とみて、留学や社員研修の受け入れ先に選ばれようと、競って名乗りを上げている。

 「アプローチできる企業が見つかった」。5月下旬、東京・三田のオーストラリア大使館。シンガポールオフィスと福岡総領事館を結ぶテレビ会議で、政府貿易促進庁の教育担当が報告した。シンガポール在駐の日本企業約40社に、豪州への留学を呼びかけるセミナーの準備を進めていた。

 豪州にとって教育は、鉄鉱石、石炭に次ぐ「第3の輸出産業」だ。2013年に学生と社会人計約52万人の留学生を迎えた。市場規模は15億豪ドル(約1500億円)。学費、食事、観光にお金を使う留学生は「お得意様」という。

 留学市場をさらに拡大するため、10年7月に留学促進業務を教育担当の省庁から貿易促進庁に移した。各国に担当を置き、貿易や投資とともに教育を企業に売り込む。東京事務所は「マーケティング事務所」とも呼ばれ、企業の海外研修受け入れにも力を入れる。

 研修は「完全オーダーメード」が売りで、政府職員が企業に訪問して一緒に内容を考える。西日本シティ銀行(福岡市)は2月にシドニーで、「外国人部下の注意の仕方」「無断欠席する海外コールセンター職員への対応」などの研修を受けた。教育担当のジョージ・マネタキス商務官は「政府が、ここまでやる国はないのでは」と話す。