牛尾梓
2014年6月21日18時51分
「へいわってすてきだね」。日本のいちばん西にある、沖縄県与那国島。そこの当時6歳だった少年が書いた詩が、絵本になった。昨年6月23日、糸満市であった沖縄戦の全戦没者を悼む式典で、本人が読み上げた。素直な言葉が、大人たちを動かした。
詩をつくったのは安里有生(あさとゆうき)君(7)。いまは父親の転勤で島を離れ、本島中部の沖縄市に住む。1年前はひらがなを習いたての、与那国町立久部良(くぶら)小1年生だった。島の豊かな自然で、平和のよさを表した。
ねこがわらう。おなかがいっぱい。やぎがのんびりあるいてる。けんかしてもすぐなかなおり。ちょうめいそうがたくさんはえ、よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
絵をつけたのは、人気絵本作家の長谷川義史さん(53)=大阪市北区。丸めがねに柔らかな関西弁。テーマは一貫して「生まれてきて、生きているだけでありがたい」。ダイナミック、そしてユーモアたっぷりに描き上げる。「今、やらなきゃ」。詩を読んですぐ、覚悟を決めた。
与那国島も訪れた。真っ青な海、広い空。恥ずかしがり屋の安里君とは二言三言しか言葉は交わさなかった。でも、平和であってほしいという願いは「話さずとも感じ合えた」。
下書きせずに白い紙に向かい、詩の素直な表現を、真正面から逃げずに描く。失敗した紙は山のように積み上がり、完成までに1カ月かかった。2000年のデビュー後、100冊以上を描いてきたが、一番苦労した一冊になった。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
PR比べてお得!