Out Logic
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2010年01月15日(金) |
FSSちょっとだけ書下ろしプレビュー |
短いですがー
ミーン・ストリーク *補足:ディー/プパープ/ルの名曲でバイクの名前にもなっております 意味は「猛者」…スザクさんwww
「…」 静かに自分の膝に頭を乗せ、眠るスザクを飽きるでもなくルルーシュは見つめていた。 夜の光の中で色を濃くした茶色の癖っ毛に、形の良い旋毛。 すっきりと通った鼻梁に長い長い睫毛、小作りであどけない横顔。 …流石はラクシャータが心血を注いで作り上げた星団最高峰のファティマだけのことはある。 つい頬が緩みそうになり、ルルーシュは慌てて口元を抑えた。 スザクが起きはしないかと顔を覗き込んでみるが、幸か不幸かその気配はない。 読書に勤しむルルーシュの横でいつの間にか眠ってしまったスザクは、実に幸せそうな顔で眠っていた。 これで普段、ルルーシュやナナリー、マリアンヌ以外が傍にいる時は僅かな物音でも跳ね起きる。 ファティマの癖にダムゲート・コントロールを施されていないせいか、スザクは人間嫌いの気がある。だからこそ他人の気配に聡いのだが、ルルーシュたちに見せる無防備さは安心の現れだ。 それが分かっているからこそ、ルルーシュもナナリーに向けるような穏やかな顔でスザクを見つめている。 「…子供みたいな顔で眠る奴だな」 一人ごち、ルルーシュはそっと前髪を梳いた。 その脳裏にふっとスザクの小さな頃の面影が浮かぶ。
―――あの頃のスザクも今のスザクも、本質は変わっていない。 それでも。 …小さな頃から今までを、ルルーシュはきっと一生忘れる事はないだろう。 スザクがほんの子供の頃に出会い、貴重な成長振りをルルーシュはこの目で見ている。 絶対本人には言ってやらないが、それはルルーシュの中では宝物の記憶だ。 通常であればファティマは20年程を育成期間に要し、その間親同然のマイト以外にはまず姿を見せる事はない。 己もファティママイトであるからこそ、それがどれだけ稀有な体験であるか分かるのだ。 それを考えればルルーシュはとても感慨深い気持ちになる。 (…スザクくらいのものだろうな。 俺のように、ファティマすら見向きもしない弱い騎士をマスターにする奴は…) 「…ん、」 瞬間スザクが身じろぎし、ルルーシュは肩を跳ねさせた。 すわ起きたかと焦るルルーシュを他所に、ぼんやりと目を開けたスザクは片手を彷徨わせる。 「…スザク?何だ?」 「んー…」 ぱたぱたと何かを探るようにしていた手はルルーシュの手に辿り着くと、きゅ、とあえかな力で指先を絡めた。 「…手?」 スザクは答えず、代わりに頷いて柔らかな笑顔を浮かべた。 その顔を真正面から見たルルーシュが頬を真っ赤に染める傍で、スザクは再びルルーシュの膝に頭を乗せて眠りについた。 寝惚けた状態でもルルーシュの温もりが欲しかったらしい。 どれだけスザクがルルーシュを好きなのか、こうして些細な拍子に思い知らされる。 …どんな顔をしていいか分からないほど、嬉しいのに。 「…馬鹿が」 何となく悔しくて、言葉が口をついていた。 (…こういう所は全然、変わってないな) スザクの温もりを手に感じながら、思い出に浸るようにルルーシュは目を閉じた。
本編に続きます!
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