この前、私の家にゴキブリが出た。
階段をのぼろうとしたら、ゴキブリはゆっくりと歩いていたのだけれど、私の気配に気づいた瞬間にゴキブリは止まった。
私はソファーでくつろぎながらiphoneをいじっているきょータソを呼んだ。
「虫がいる!多分ゴキブリ!」「こわい!」「動いてる!」
きょータソはおしりをかきながら「え〜?ゴキブリ?」「ほっときなよ〜」と他人事。
「ゴキブリが出たんだよ!」「男でしょ!」「こういうときアニメだと男の人ってゴキブリを退治してくれるじゃない!」
私は一心不乱できょータソを揺さぶった。きょータソは揺らされるのが嫌いだから仕方なしに重い腰をあげた。
最初ゴキブリを見失ったけれど、すぐに見つけた。
私はきょータソの背中をグイッと押して、今すぐゴキブリを退治しろと無言の圧力をかけた。
しかしきょータソは・・・。
見ているだけで、退治してくれなかった。私が「退治して!」と言っても「本気で言ってる?」「かわいそうだよ」「俺、虫とか殺せないタイプなんだよね」「蚊も殺さないよ?」とメルヘンチックな言葉しか返ってこなかった。
きょータソは「ほっとけばいいじゃない」と言ってソファーに戻った。私は「どうしてほっといて平気なの!」「どうせ生態系が崩れるとか言い出すんでしょ!」と詰め寄ったけれど、「単にかわいそうだからだよ」「じゃあ逆にどうして退治する必要がある?」と逆質問された。
きょータソは子供の頃、お寺で遊んでたから虫が殺せないのだろうか?関係ある?
もうこれはダメだと思って、私は厚紙にゴキブリを乗せて「ひゃー!ひゃー!」と言いながら外にゴキブリを投げた。
きょータソは虫が殺せない。きょータソは虫を可愛いと思っている。ゴキブリでさえも。
この時期はゴキブリの季節なのかな?