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生活困窮、健康も悪化 仙台・宮城野、仮設住民 NPO調査

 東日本大震災の被災者支援活動に取り組む東京のNPO法人POSSE(ポッセ)は、仙台市宮城野区のプレハブ仮設住宅入居者を対象に実施した生活実態調査結果をまとめた。収入は平均で3割弱減少したほか、3分の2の世帯で家族の健康状態が悪化していた。

 東北学院大経済学部の佐藤滋准教授や学生と共同で昨年8〜12月、仮設団地6カ所でポッセの支援事業を利用する高齢者ら40人に、本人と家族の状況を聞いた。平均年齢は68.5歳。40世帯のうち、65歳以上のみが29世帯あった。
 収入は、震災前の年平均247万円から、失業や家族の別居などの影響で181万円に下がった。
 一方で、23世帯は暮らしに困っても生活保護制度を利用しないと答えた。「誰にも迷惑を掛けたくない」「世の中の雰囲気」などが理由。実際に収入が規定の最低生活費を下回り、受給対象となる12世帯のうち、9世帯は申請していなかった。
 健康状態は、27世帯で家族が悪化していた。医療費の捻出が難しく、通院回数や食費を減らした世帯もあった。
 現在の生活に15世帯が満足していると答えたが、「納得するしかない」「ぜいたくは言えない」などの回答から、現状を耐え忍んでいる実態がうかがえた。災害公営住宅への入居を予定する25世帯の中には、家賃負担や集合住宅での近所付き合いに不安を訴える声もあった。
 調査を担当した仙台ポッセ事務局員の川久保尭弘さん(27)は「生活に困っても、周囲への遠慮で本心を明かせない被災者は少なくない。個々のニーズに目を向けた支援が必要だ」と訴える。


2014年06月22日日曜日

関連ページ: 宮城 文化・暮らし

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