河野氏:慰安婦「強制との見方、当然」 談話に理解求める
毎日新聞 2014年06月21日 21時55分(最終更新 06月21日 23時50分)
河野洋平元官房長官が21日、山口市で講演した。政府が20日公表した1993年の「河野談話」の作成過程に関する検証結果について「(慰安婦は)いろいろな集まり方があったかもしれないが、施設に入ったら軍の命令で働かされた。帰れず、拒否できないなら強制的と見るのが当然だ」と指摘。慰安所での生活を「強制的な状況の下での痛ましいもの」と認めた河野談話の内容に理解を求めた。
河野氏は「(検証結果の)報告書に私が足すべきものも引くべきものもない。正しくすべて書かれている」と評価した。従軍慰安婦問題を巡る日韓関係の悪化については「あとは冷静に、両国をより良い関係にする努力を指導者にしてほしい」と語り、安倍政権の下での関係改善に期待を示した。
政府報告書は、日韓両政府が慰安婦募集に関する「強制性」をめぐり、談話発表の直前まで文言調整した実態を明らかにした。
これに関し河野氏は「過去の資料でも、戦時中に軍の施設に慰安所があり、大勢の女性がいたのは否定できない」と指摘。元慰安婦16人への聞き取り調査については「(事務当局は)十分な資料、証拠がそろっているということだった」ものの、「被害者の話を聞いて初めて、加害者としての考えをきちんと言うことができる」との意向で実施したと説明。聞き取りはあくまで韓国側の要請に基づくもので、談話の内容に影響していないとの報告書の立場を追認する考えを示した。
また、安倍晋三首相が談話の見直しを否定したことを高く評価する考えを示した上で「内閣が歴史認識について認めた以上、それ以外の発言は国際社会に『不規則発言だ』とはっきり言わなければならない」と述べ、さらなる国際問題化を避けるよう求めた。【鈴木美穂】