【社説】河野談話検証は韓日関係の破たんが狙いなのか

 安倍首相は首相就任前から慰安婦動員の強制性を否定し「河野談話は修正すべき」と繰り返し公言してきた。安倍首相の政権基盤でもある日本の右翼勢力も「河野談話は歴史的事実に基づいたものではなく、政治交渉の産物だ」などとして検証を執拗に要求してきた。菅官房長官も2012年12月には自ら「談話の修正」を口にしたが、今回調査結果発表した直後「河野談話を修正しないという日本政府の立場に変わりはない」と述べた。安倍首相は今年4月、韓米日3カ国首脳会談を実現させるために自らの発言を変えたが、今回もこれとまったく同じで、自らの言い分を状況に応じて好き勝手に変えているというわけだ。

 安倍内閣は今回、正直な態度も堂々とした姿勢も示さなかった。形の上では「談話を継承する」としながらも、実際は河野談話の価値を引き下げる添付資料を同時に公表するという、姑息な手段を使ったのだ。韓国政府はこの日、外交部(省に相当)報道官が声明で「談話の信頼性を損なう結果を招く内容だ」と非難。しかし安倍内閣は今回、河野談話の価値を下げただけにとどまらず、韓日関係、さらには韓米日による三角安全保障協力の枠をも危機的状況に追いやっている。

 日本は今回、あらかじめ相手の同意が必要な内容についても公表した。発表された資料によると、日本側は交渉の過程を全て極秘にすることを提案し、韓国側がこれを受け入れたとされている。また「当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領は日本の最終案を評価した」とした上で「韓国政府は(河野談話の)文言を受け入れたという意向を伝えてきた」などとも記載されている。たとえこれが事実だとしても、自分たちの必要に応じて都合のよい内容を取捨選択し、これを一方的に公表することは「もうあなたの国とは外交をしない」と言っているのと同じだ。どこまでが事実か分からない内容を勝手に公表する国を信頼し、今後安全保障などの面で協力することなどできるだろうか。

 安倍内閣は今回、直前になってどこまで踏み込んで発表するか悩んだという。おそらく韓国の反発や米国のあからさまな警告、さらには国際社会による批判などを意識したのだろう。米国の仲裁により今年3月からようやく始まった韓米日による安全保障協力に問題が生じれば、これは全面的に安倍内閣の責任だ。韓国政府は米国と国際社会に対し、今回発表された報告書の問題点を訴えると同時に、安全保障体制が損なわれるという重大問題についてもはっきりと主張しなければならない。今は韓日関係が間違いなく重大な転換点に来ているだけに、政府の対応も一時的なものに終わってはならず、より長期的かつ戦略的な方向へと転換しなければならない。

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