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人間中心のデザインを実現するエスノグラフィック・アプローチ

富士ゼロックスでは、人を中心としたデザインを実現するために、環境や道具に対する人の本質的な要求や、人の特性そのものを体感しながら理解して、それらを活かしたデザインを追求しています。
人は、その活動環境に存在するさまざまな道具や情報を、自分の活動のための資源(リソース)として利用していますが、その方法は状況によって柔軟に変化します。そのため、ユーザーの活動の現場では、デザイナーが想定していなかった問題が発生したり、当初のデザインの意図を超えた「はたらき」や「使い方」がユーザーによって発見されることもあり得ます。
人間中心のデザインを実現するためには、このようなユーザーの具体的な活動とその背景を理解し、活動の奥にある潜在的な課題やニーズ、活動の中に潜む未来への兆しを捉えてデザインを進める必要があります。
富士ゼロックスでは、このような視点から、デザインプロセスにエスノグラフィック注1なアプローチを導入し、ユーザーの生活や仕事の現場の観察やインタビューを通じたメッセージ抽出と、プロトタイピングによる可視化をベースとしたデザイン活動を実践しています。
ここでは、私たちが実践しているデザインプロセスの概要をご紹介します。

注1
エスノグラフィック:
エスノグラフィー(民族誌学)の形容詞。エスノグラフィーは、文化人類学や社会学の分野で、人々が実際に活動している現場を理解するための質的な研究手法として発展してきました。近年では、マーケティングやデザインの分野でその手法が応用され、ユーザーとその活動を深く理解し、潜在的なニーズを抽出するために使用されています。

観察とプロトタイピングによるデザインプロセス

最初にユーザーの具体的な活動の観察やインタビューを実施し、次に、その奥にあるメッセージの抽出、本質の洞察を深めた上で、ユーザーの活動や体験の「あるべき姿」の仮説を導きだします。その後、「あるべき姿」を実現するための具体的な手段のアイデア検討を進め、ユーザーとの接点を中心としたプロトタイピングを通じて商品やサービスの具体的なカタチを描いていきます。実際には、このサイクルを繰り返し、具体的な世界と抽象的な世界を何度も行き来して、本質に迫り、具体案を創出していきます。

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ステップ1 ワーク観察とインタビュー

ユーザーの生活や仕事の現場で、活動の観察やインタビューを実施します。エスノグラフィックなアプローチにより、具体的な活動の事実を見つめ、ユーザーが無意識に行っている行為や活動の背景を、ユーザーと共に「発見」します。

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ステップ2 ストーリー共有とメッセージの抽出

観察/インタビューの記録を元に、得られた事実と気づきをチームメンバーで共有します。ユーザーの視点を捉え、活動の全体像、人や道具/情報などとの関わり、活動の背景にあるルールや考え方を理解し、メッセージを抽出します。

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ステップ3 本質の洞察

ユーザーの観察/インタビューから抽出された複数のメッセージを比較、分類、統合し、より本質的なメッセージに深化させます。活動の奥にある暗黙のルールや根底にある価値観、実践の中に潜むニーズや未来への兆しを洞察します。

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ステップ4 「あるべき姿」の検討

ユーザーにとっての理想の状態を、「あるべき姿」として検討します。ここでは、実現手段ではなく、ユーザーにとって、どのような活動、体験ができることが重要なのかを議論し、デザインの目標として設定します。

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ステップ5 具現化アイデアの検討

「あるべき姿」を実現する、具体的な達成手段のアイデアを検討します。紙などの身近な素材を使って即興的に簡易モックアップを作成し、それらを使った演技によって未来の活動イメージを可視化し、評価します。

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ステップ6 プロトタイピング

人との接点(タッチポイント)を中心に、価値を体感できるレベルのプロトタイピングを実施します。新しい体験、新しい価値のキーとなる部分をすばやくカタチにし、効果を体感しながら、柔軟に変更を加えて検討を行います。

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