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【サッカー】

カウンター恐れ出ない“勝負のパス” 大久保「勇気足りない」

2014年6月21日 紙面から

 動けない。声も出ない。まさかの痛恨ドロー。大久保はしゃがみ込み、香川は両手を腰に置いたまま目を見開いた。完敗発進から中4日。今度はじれったく、もどかしい90分間が続いた。勝ち点3を取り逃し、大久保は「すごくもったいないし、情けない」とうめいた。

 前半38分、カツラニスが2度目の警告処分で退場すると、流れは大きく傾いた。日本のボール支配率は68%に上り、パス成功率はギリシャの59%に対し、日本は86%に跳ね上がった。だが、パス回しで日本が試合を支配しながら、主導権を握っていたのは実はギリシャだった。

 10人になり、さらに軸足を守備に置く難敵の戦略が「嫌だった。それが、もともとギリシャの戦術だったかもしれない」とは内田。引いて構えてクロスを上げさせ、ゴール前ではじき返す現実的な守り方に徹してきた。後半23、26分と両サイドバックの内田、長友が敵陣深くまで押し込んで絶好のお膳立てした以外は、サイドからの安易なクロスに終始してしまった。ペナルティーエリア内で2、3人と絡み合いながら連動して突き崩す場面はほとんどなかった。

 昨年10月のセルビア、ベラルーシ遠征。2戦無得点だったが、本田は「W杯用に大きなものを披露しようと組み立てている段階」と強調した。屈強な大男が居並ぶ相手守備陣をどうこじ開けるか。その答えは徹底した地上戦であり、アイデア豊富な短いパスを使った中央攻撃だった。

 その地上戦を最も求めていたのは、皮肉にもチームに加入して間もない大久保だった。だが信頼はあっても深みのない連係は焦りを生む。相手守備網を切り裂くには鋭い縦パスも必要だが、相手のカウンターを恐れるあまり、大久保の足元にパスは出てこなかった。大久保は「勇気が足りないんじゃないかな。DFがいようが(パスを)当ててくれれば…。パスを当てる勇気がまだ足りない」と語気を強めた。

 試合終盤。交代枠を1つ残しながら、吉田を前線に上げ、パワープレーを仕掛けた。高いレベルの能力を結集しながら、生かさず、生かせず…。首の皮一枚は残ったが、ナタルの夜空には涙雨が舞っていた。 (松岡祐司)

 

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