「ラブライブ!」と「アイマス」の違い。絢瀬亜里沙・A-RISEと矢吹可奈・渋谷凜

最初に付け加えておくと、本記事はアイマス寄り(もっと言うとモバマス・ミリマス寄り)なのでそこを念頭に置いてもらいたいです。

 

乱暴に言ってしまうなら、穂乃花はA-RISEのライバルも要らなかったし、後輩メンバーも要らなかった。

でも春香は可奈も輝きの向こう側に連れてってやりたかったし、多分関わりのない凜にも影響を与えた。

 

 

「ムビマス」はあれで終わらせるつもりならば別に矢吹可奈や北沢志保らは要らなかった。

しかしアイマスを続けるために、新しい仲間を作る必要があった。

その事からムビマスのストーリー的な軸は、「春香たち765プロに憧れてアイドルを目指す女の子」に対してどう指標になっていくのかという話であった。

だから本作のヒロインはミリオンライブから来た矢吹可奈なのである(グリマスの方では千早好きだったがムビマスでは春香好きであるが、まぁそこは置いておく)

 

矢吹が「春香ちゃん」に憧れてアイドルを目指した。

でもレッスンの辛さなどから挫折してしまう。

ただその辛さがあったとしても、それでも「輝きの向こう側」に対する憧れを肯定して、春香は切り捨てたくないと足掻いた。

その結果、矢吹も支えられてなんとかあのステージに立つことが出来た。

ムビマスはそういう「お話」であったと言える。

 

一時は矢吹を切り捨てようとした北沢が、色々と認識を改めて後にいい仲間になってるというのも美しい。

そこらへん仲間としての同調意識という突っ込みは出来るかもしれないが、美談ではあると思う。

 

エンディングのスタッフロールで、今回出れなかったミリオン勢、シンデレラガールズの象徴ともいえる渋谷凜が少し出ていたのも興味深い。

あくまで後付けではあるのだが、凜がアイドルに対して興味を抱いたのが実は765プロのライブを街頭モニターで見ていたからかもしれない。

765プロとあまり縁がないはずの凜も、もしかしたら影響を受けてるのかもしれない。

 

トップアイドルになるという事はその姿を見る人たちに影響を与えるという事であるし、春香たちの姿を見て「輝きの向こう側」を目指す事を肯定している。

輝きの向こう側へ行ったのは矢吹らミリマス子だ。お話の軸としてはそういう話。

 

アイマスは「この13人の765プロ」だけでは持たないからソシャゲーとCD・ラジオで下積みさせたミリオンやシンデレラを「仲間」に組み込もうとした。

しかし「ソシャゲーだから」「知らないから」という事で不関与を続けていたら、新作ワンフォーオールに蘭子や星梨花が出てしまって外堀が埋められていった。

それに対して「ついてこれない人」を切り捨てる結果になってしまったのも事実ではある。

 

参考リンク

私がPを辞めた理由 DI@NOIA/ウェブリブログ

 

ではラブライブは?

シンデレラやミリオンなどソシャゲーからの下積みを経ての世界観拡張を行おうとしてきたアイマスと真逆の路線を模索しているのである。

 

 

この話で穂乃花は「μ’sは9人」である事を繰り返し連呼している。

その中に亜里沙を入れたくないし、本気で戸惑っている。

だから向こうに身を引かせているし、それ以上は関与しない。

亜里沙の存在は「この9人」にとってノイズである。

 

ここらへんのスタンスはムビマスで矢吹を輝きの向こう側に連れていってやりたかった春香とは真逆のものだ。

765プロにも「あの13人がいい」というPの大声は響き渡っていたが、広げるために仲間を増やす路線を続けて行った。

そもそも最初は美希居なかったし、響や貴音も最初は961プロで子安社長に肉の芽を植え付けられてたけど憎めない奴になって仲間になったという経緯がある。

 

逆にμ’sの輝きはあくまであの9人だけのものである。

新しくキャラを受け入れる必要もないし、関係性を保ち続ける。

しかし関係性を完全に保つという事は「受け継ぐ者」とも断絶するという事である。

壊しに来るのは「見知らぬ後輩」である。亜里沙は交流自体はあったが。

 

またライバルユニットであったA-Riseも、1期では穂乃花に影響を与えてたはずだがあっさりフェードアウト。

あくまで流れとしてμ’sの一世代だけに焦点があてられている。

だから影響を受ける事も与える事も、そこまで重視されていない。

そういった関係性を変え続ける事による希望よりも、あくまで「この9人」の日常を書いてきた。

「見知らぬ後輩」に関係性を壊される事はないので、これはこれで一つの安心感なのだろう。ずっと続くとは思えないが。

 

ラブライブの場合、恐らくメディアミックスの方針としてμ’s以外のグループを掘り下げる気が無いのではないか。

「スクールフェスティバル」でもモブはモブである。

スクールアイドルという舞台装置は、あくまでμ’sの9人のキャラ及び声優を売るためのものであって潮時にもなればパパパッと終わらせるつもりなのだろう。

「この9人」の関係性をいつまでも永遠にしておくことは美しい事だと思うのだけれども、それで「受け継ぐ者」の流れを切り捨てる事はなんか寂しい。

 

 

アイマスラブライブのコンテンツとしての路線は、春香と可奈、穂乃花と亜里沙の関係性は全く真逆だった。

 「この9人」の変わらない関係性に安寧するか、それとも「見知らぬ後輩」の指標になるのか。

ここは人によって解釈が分かれるだろうし、どっちでもいいという人も居る。

ソシャゲ出身の小娘なんか薄汚くて怖いという意見も、もう散々聞いて来てます。うんざりするほど。

 

こう言っちゃなんですが、プロとアマチュアの違いなのかもしれません。

ラブライブに対して擁護するなら、高校生アイドルよろしくアマチュアっぽさが売りなんでしょう。

別にそれはそれで否定する気もないです。

 

でも僕は関係性を壊してでも「見知らぬ後輩」を輝きの向こう側へ連れていきたかった春香の姿に感動したのです。

 

モバマスアニメの1話は是非ムビマスEDからの続きで、しぶりんが765プロのライブを見て興味を抱いててほしいです。

「私には無理だよね」とあきらめてた所にモバPが現れて「ふーん、あんたがプロデューサー?」のくだりになると、すっごい美しい流れだと思うんですよね。はい。

艦これアニメより楽しみです。艦これアニメは鶴姉妹や大鳳龍鳳信濃や雲龍型は一航戦として認めないとかそういう流れになりそうで怖いです。

大丈夫だよね……?

 

余談

WUGについて言及してない事を突っ込まれそうなので触れておきますけど、あれは「ライバル」の扱い自体はそれなりに描こうとしてたと思います。

最終話でライバルチームに負けさせる展開自体はそんな嫌いじゃなかった。

ナマハゲーズいいじゃないですか。