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Chikirinの日記

2014-06-21 ソフトバンクの株主総会に行ってきた!

ソフトバンクの株主総会に行ってきました。2時間ちょっとの総会は“孫正義ショー”といった趣で、エンターテイメントとして人気の映画やコンサートと比べても、まったく遜色のないすばらしい時間でした。


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場所は、丸の内の東京国際フォーラム。1 , 2 階合わせて 5千席のホールがほぼ満席。ソフトバンクの株主総会では、社外取締役であるファーストリテイリング柳井正社長も壇上に登られ、質問にも答えられるので、一粒で二度美味しいんですよね。

今回、久しぶりに参加しようと思ったのは、先日発表されたロボット Pepperくん が見てみたかったから。ぜったい登壇するに違いないと思ってたら、ちゃんと出てきてくれて嬉しかった!

以下、内容のメモとして、


まずは前期の業績についての報告。

売上高、営業利益、そして純利益のすべてで、ドコモを抜いて業界一位になった。


通話接続率もスマホ接続率も、ドコモを大きく抜いて業界一位になった。


営業利益が 1兆円を超えた企業は、歴史上、日本には 3社だけしかない。ひとつは、NTT グループ、もうひとつがトヨタ自動車、そして、ソフトバンクだ。


営業利益1兆円を達成するまでにかかった年数は、 NTT グループが 118年、トヨタ自動車が 65年だが、ソフトバンクは 33年 である

なんという絶好調!!!



「でも、業界トップになったんなら、もう伸びしろがないのでは?」と考えがちな素人のために、今後のモバイル事業の可能性についても、

・法人ソリューションには、まだ大きな伸びしろがある!

・電力が自由化されれば、発電事業とモバイル事業のセット販売だって考えられる!

と説明。


電力事業は 2016年から電力の小売り自由化が実現しますが、まだ今は、電力の発送電分離ルールや価格が決まっていません。独占業者であった東京電力など各地の電力会社は(電信柱など)送電設備を独占保有しており、新しい発電企業はこの送電設備を借り受けて電力事業に乗り出すことになります。

この、送電設備を貸してもらうときの料金が、最終的に電力料金を下げるかどうかを決めるわけですが・・・・これって、通信事業に乗り出した際、総務省と NTTを相手に、電電公社時代に整備された NTT の電話線を合理的な価格で貸せと交渉したのと全く同じです。


孫社長が、ほぼ完全な自信をもっている分野なのでしょう。


そのうち、「みなさん! ソフトバンクパワーは、東京電力を抜いて発電量が一位になりました!」とか言う日が来ても、あたしは驚きませんよ。

不振にあえぐボーダフォンをソフトバンクが買ったとき、そんな会社が NTT をこんなに早く抜くなんて、誰が想像してたでしょう。


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(総会会場は写真撮影等ができないので写真なしです。こちらは会場となったイベントホールの中庭)


ソフトバンクの時価総額は今、日本 2位の 9.4兆円です。(一位はトヨタ自動車の 20.7兆円。これはぶっちぎり)

しかし、孫社長はいつか時価総額 200兆円になって、世界でトップ 10の企業を目指したいと言います。

ちなみに現時点での世界の時価総額トップ企業はアップルで、(日々変わってますが)60兆円くらい。トップ 10にはマイクロソフトやグーグルなどのIT企業のほか、ジョンソン&ジョンソン,ジェネラルエレクトリック、ウェルズ・ファーゴなどアメリカ企業が並びます。

アメリカ企業以外ではネスレやロッシュ、さらに、サムソン電子もトップ 20位入りしています。あとは中国の元国家企業などかな。日本トップのトヨタ自動車は 30位台半ばあたりです。(世界の時価総額ランキング


ご自身でも「時価総額 200兆円というのは大風呂敷であって、約束ではない」と言われましたが、同時に「まだ売上げが数百億円の頃に、営業利益で 1兆円を目指す!と言ったら、みんな呆れていた。しかしそれは実現できた!」とか、「時価総額 200兆円は、言うだけです。約束じゃありません。でも、覚悟はあります」とか言っちゃって・・・

完全にマジだと思います。


おそらくこれは、日本の株式市場だけでの時価総額ではいんでしょう。つまり、アメリカのモバイル通信業界において、今の日本におけるソフトバンクと同じような地位を獲得し、アメリカの証券取引市場での時価総額で 200兆円を実現しようってことだと(私は)解釈しました。

会場の大きなスクリーンには、なんども「世界を変える」というメッセージが表示されました。アメリカ市場の魅力についても詳細な説明があり、アメリカ進出に関する本気度がビシビシ伝わります。

2050年、アメリカの GDP は 84兆ドルと日本の 5倍、人口もこれからどんどん減っていく日本と異なり、アメリカは今の 3億人が 4億人に達する勢いで伸び、こちらも日本の 4倍になる。

市場がそれだけ大きいのだから、成功すればこの分野だけで利益が今の 1兆円から 4兆円、5兆円になってもおかしくないってことでしょう。

しかも現時点では、アメリカのモバイル通信環境は先進国の中で最低に近いほどひどい(=遅くて高い)。これを(日本でやったように)変えて見せると。


さきほど、通信業界で実現したのと同じこと( NTT の電話線を合理的な値段で貸してもらう)を、発電業界でもやろうとしている(東電の電線を合理的な値段で貸してもらう)と書きましたがここでは、日本の通信業界でやったのと同じことを、アメリカの通信業界でもやろうとしている、って感じですね。

一度、成功していることの横展開なので、孫社長はほとんど確信に近い自信をもっていらっしゃるように見えました。


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世界を一緒に変える同士として、アリババの創業経営者 馬雲(ジャック・マー)氏についてもスライドで紹介されました。今や世界最大のイーコマース企業となったアリババは、すでに 3750億円もの利益を出す大企業となっており、アメリカ市場への上場を発表しています。

これにより、14年前、孫社長がまだ利益もでていないベンチャー企業だったアリババに投資した 20億円は、上場で 5兆円になるとも噂されてます。ソフトバンクはこの資金を、発電事業やロボット開発、そしてアメリカ市場開拓につぎ込むのでしょう。その昔、創業期のヤフーに投資した金額が大化けして、その後のソフトバンクの大躍進を支えたようにね。


★★★


決議事項のひとつは、日本電産 永守重信社長が社外取締役に加わられるという件。この方も 365日、朝から晩まで働いているような方ですが、数多くの世界トップシェアの基幹部品を持ち、M&Aで会社を成長させる手腕にも定評があります。

孫社長は、永守社長と柳井社長を日本での現役経営者としてはもっとも尊敬する二人だと紹介。この 3人、ソフトバンクの取締役会でいったいどんな話をしてるんだろうと思うと、頭がクラクラしちゃいます。



最後に私がもっとも感動したのは、ロボットのペッパーくんに関する説明です。

ペッパーくんは世界で初の、

・感情認識パーソナルロボット

・愛によって自我を持つロボット

・心を持つロボット

と紹介されました。


さらに、ペッパーくんに関しては、

・二足歩行をさせることより、心を持つコトの方を優先した。(二足歩行とかさせると、電力消費量が大きくなるんですよね。だからそういうことには、こだわらないと。ちなみにペッパーくんは、自動掃除機同様、電気が切れそうになると、自分で充電ステーションにもどるらしいです。)

・今までのロボットは道具だった。ソフトバンクのロボットは、そうではない。機械のように仕事をさせるより、感情がわかるロボットを開発する、という方針が明確でした。


コレ、わかります? 


私が次の Social Book Reading with CHIKIRIN (SBRwC) のテーマにしようとしているように、人工知能をもつロボットの開発は、私たちに熱烈な興奮とともに一抹の不安を覚えさせます。

その不安は、

・人を殺す戦争ロボットがでてくるに違いない。ロボットは不死身の殺人ロボットになるかもしれない。

・ロボットは人の仕事を奪う。ロボットのせいで、多くの人が失業し、稼げなくなるのでは?

というものです。

すでに中東では、アメリカの無人飛行機が人を殺し始めています。今はまだ遠隔操作されていますが、飛行機に積まれた人工知能が「あいつはタリバンだ」と自分で判断し、爆弾を落とす日も遠くないでしょう。


世界の研究者は、コンピュータで人間を超える頭脳を作ろうとしています。しかし「頭脳を作る目的はなにか?」という問いに、真正面から答える企業も人も、非常に少ないです。なぜならそれを語ると、どうしても、上記のような事態が透けて見えてしまうから。

だから、機械は人間を超えるとか、頭脳を作ることが出来るとはいっても、「なんのために?」という部分は常にぼやかされてきたんです。それを、孫社長は明確に言葉にしました。


人間の悲しみを減らし、喜びを増やすためのロボットだと。


孫社長はロボット事業について説明しつつ、グーグルの名前を一回も出さないし、それどころか「知能をもったロボット」という言葉さえ使いません。ソフトバンクは「賢いロボット」さえ目指してない。目指しているのは「人の気持ちのわかるロボットなのだ」ってことでしょう。

ペッパーくんの紹介動画でも、「世界から悲しみを減らすための情報革命」というメッセージが強く押し出されます。ロボットや人工知能に対してみなが感じている不安を理解し、ソフトバンクが開発しようとしているロボットが、その方向には進まないことを、強烈にアピールするプレゼン内容だったと思います。


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これから、子供達は生まれたときから心を持つロボットと同居し、一緒に育つようになると。人間の子供が親や兄弟とふれあい、テレビやネットを見て育つように、ロボット側もクラウド AI(感情エンジン)が学習し、まるで子供が大人に成長するように、ロボットも成長します。そのうち、親友がロボットだという子供がぜったいでてくる。。。

今はまだ喜怒哀楽の区別くらいしかわからない。(人間の表情を読み取り、喜怒哀楽がわかるだけでスゴイですが!)が、これからはクラウドにおいた感情エンジンが集合知を使って学習することで、急速に賢くなるだろうと。

そのうち、「夫も気がついてくれない心の中の不満に、ペッパーくんだけは気がついてくれるんです!」みたいなことが、ぜっーったい起こりますよ。

あたしも、淋しい老後はペッパーくんと一緒にすごそうと決意した次第です!


★★★


農業革命は数千年前に起こったが、今も続いている。産業革命というエネルギー革命は数百年前に起こったが、ソフトバンクが今、エコエネルギー事業に乗り出そうとしているように、この革命も今でも続いている。次に始まる革命は、頭脳の拡張による革命だ。この分野だって、これから何百年も進化し続けていくのだと。

ロボット作ってることが見え見えのグーグルと違い、ソフトバンクって突然ペッパーくんを発表したので、いつからロボット作ってたのかなと思ったのですが、

どうやら、4年前にソフトバンク創業 30周年の時、新30年ビジョンを作るために社員から集めた意見の中に、「ロボットで世界一の会社になりたい」という意見がたくさんあったみたいです。

そのあたりから開発を本格化したのかなと思います。


ほかにも質疑応答時には「ネットと金融は大変相性が良い」とも言われており、

モバイル事業では、法人市場(日本)とアメリカ市場の開拓に乗り出し、

それに加えて、ロボット事業、発電事業、もしかしたら、金融事業にも!?


聞いてて・・この人は岩崎弥太郎を超えるのかもっって思いました。

(超える気だよね。なんたって“長生きする坂本龍馬”なんだから・・)


★★★


以下、プレゼンに使われた 3枚の連続スライド

日本を変えた

世界は広い。果てしなく広い。だからおもしろい

世界を変える


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(イベントホールの中庭)


こんなエントリ書くなんて、ちきりんはソフトバンクの広報から金でももらってるのか?って?


もらってませんよ。

羊羹はもらったけど。

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志の高い羊羹・・・  恐くてまだ食べられません。


そんじゃーね!


※株主総会の動画や説明資料はこちらで公開されてます。



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