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マジコンが著作権法でも規制されるかどうかについて[DVDリッピング違法化関連]
ライター:apple40noteさん(最終更新日時:2014/4/6)投稿日:2012/6/25
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「違法ダウンロードに刑事罰・著作権法改正で何が変わるか 壇弁護士に聞く」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1206/20/news015.html
今までのニュースでは技術的保護手段改正についてほとんどは「DVDリッピング違法化」として書かれていませんが、こちらの記事ではDVDのリッピングソフト配布だけでなく、「マジコン」 販売までもが今回の規制の対象になると言及されています。
更にはマジコンによるゲームソフトの吸出しもDVDリッピングと同様に刑事罰はないけれど違法化されると話しております。
本当でしょうか?
この件について、不正競争防止法による「技術的制限手段」と著作権法による「技術的保護手段」の違いについて説明しながら、皆様に問いたいと思います。
まぁ、現在不正競争防止法にて技術的制限手段の譲渡等に対して刑事罰が設けられ、著作権法での技術的保護手段譲渡に関する刑事罰よりも重いし、著作権法でマジコン規制をする必要はなさそうですが、個人複製については著作権法によります。吸出しに関してはマジコンよりも「SMS2」のようなパソコンにDSソフトを取り込む機械を使う人も多いかと思いますが、それも含めて考えます。
・ 「コピーコントロール」と「アクセスコントロール」
プロテクトは大きくこの2つに分かれます。
コピー自体を防止する「コピーコントロール」とコピーは防げないがコピーしても視聴やプログラムの実行(アクセス)ができない「アクセスコントロール」です。
DVDにかけられているCSSは暗号型技術で普通にリッピングしても再生することができない「アクセスコントロール」にあたります。
2012年9月30日までの法律では
著作権法(技術的保護手段)→コピーコントロールのみ
不正競争防止法(技術的制限手段)→ アクセスコントロール・コピーコントロール
でしたが、改正後(2012年10月1日)は
著作権法(技術的保護手段)→アクセスコントロール・コピーコントロール
不正競争防止法(技術的制限手段)→アクセスコントロール・コピーコントロール
とアクセスコントロールも著作権法の技術的保護手段に含まれるように定義が改正されます。
基本的にマジコンはアクセスコントロール回避装置です。
参考
「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会技術的保護手段ワーキングチーム報告書」
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_11/pdf/shiryo_1_1.pdf
平成22年の報告所において、ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術は『複製を「抑止」』しているだけで『防止』はしていない、コピーコントロールではなく、アクセスコントロールであると評価しているようです。
数年前のマジコン事件裁判も検知→許可型の「アクセスコントロール回避装置」として、不正競争防止法違反が 認められました。
判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090306192548.pdf
「この裁判ではマジコンが技術的制限手段回避装置、検知→許可型のアクセスコントロールであることが認められた。今度の著作権法ではアクセスコントロールも技術的保護手段に含まれるんだから当然著作権法でも規制の対象ではないか」
そう思えるかもしれませんが、少なくともこのマジコン裁判を元に著作権法でもマジコン販売が規制対象になるとはいえません。別の解釈が必要です。
アクセスコントロールにも更に種類があります。
マジコン事件においてマジコンとは「無許諾複製物のプログラムを実行可能にする装置」 という扱いでした。
こちらの不正競争防止法の資料もわかりやすいかもしれません。
http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/chitekizaisan/gijutsutekiseigen/001_s01_00.pdf
DSソフトに信号を付け、正規ソフト以外では「可動しない」 可動を制限するプロテクトであることが図で説明されています。先ほどの文化審議会の報告書を読んでも「セキュリティに適合する信号までは複製されず、ゲームを起動できない」が、マジコンを使い不正に信号を加えることによって起動できると書かれています。
これらの仕組みを思えば「コピーコントロール」ではないことがよくわかるでしょう。複製を防止するのではなく、複製しても視聴やプログラム起動をさせないのがアクセスコントロールです。
マジコン事件はマジコンがDSソフトを「吸出しする装置」だからではなく、吸出しされたDSソフトを不正に「起動させる」装置として訴えられています。本来であれば正規ソフト以外は起動することができません。
不正に信号を送って本来起動しない「プログラムを実行」させてしまう装置がマジコンです。
ここで 不正競争防止法の技術的制限手段を読んでみますと
「電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。」
長いですが、マジコン裁判において焦点となったのは「プログラムの実行」に関するアクセスコントロールです。
今回の著作権法改正によって技術的保護手段に加わるアクセスコントロールは
「当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式」
「特定の変換」を必要とする著作物等が「変換して記録」されていること。
あれれ、「プログラムの実行」は含まれていませんね。ここは不正競争防止法と大きく異なります。
著作権法にはプログラム使用に関する権利はありませんしね(第113条第2項除く)
だから先ほどの表を書き直すと
著作権法(技術的保護手段)→アクセスコントロール(暗号型技術のみ)・コピーコントロール
不正競争防止法(技術的制限手段)→ アクセスコントロール(暗号型技術・プログラム実行制御型など)・コピーコントロール
だからアクセスコントロール回避機器譲渡が不正競争防止法違反だからといって、必ずしも改正後の著作権法でも違法になるのではありません。暗号型のアクセスコントロールに限ります。
「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会技術的保護手段ワーキングチーム報告書」
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_11/pdf/shiryo_1_1.pdf
この資料でいえば3ページ目の 『「暗号型」技術CSS』のみが加わったということでしょうか。ゲームのプロテクトとは区別されています。
CSSは暗号型技術で、影像を暗号化してDVDに記録し、DVDプレイヤーやパソコンの光学ドライブで再生する時には暗号を解除し、元の影像に復元しています。
DSのプロテクトはソフトに書き込まれた信号を読み取り、セキュリティーに適合する信号が読めなかったら起動できないだけで、変換された影像を復元するのではありません(たぶん)。
今回の改正により暗号型技術であるCSS回避するリッピングソフトは規制の対象ですが、マジコンに関しては必ずしも著作権法での規制の対象 にならないのではないでしょうか?
もっとも、 ゲームソフトも「映画の著作物」と認められた判例もあり、解釈によっては対象になるのかもしれません。
少なくともマジコン裁判は吸出したソフトのプログラムを「実行可能にする装置」に関して判断しており、これを元に今回著作権法でも規制対象であるということはできません。
だから、規制の対象になると断言できないです。マジコンが吸出し時にコピーコントロールや暗号型技術のアクセスコントロールを回避していることを示さなくてはなりません。
もっとも、何かしら新しい解釈をしなければ適用できないのであれば、今まで通り不正競争防止法でマジコン販売者を逮捕すればいいだけですが。
次に個人的なソフト吸出しが 著作権法第30条第1項第2号により違反になるかどうか。
これも今度の改正点に触れるとは言いがたいでしょう。先ほどの説明通りプログラム制御であれば技術的保護手段に入りませんし、
改正により加わる部分ですが
「同号(第二条第一項第二十号)に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うこと」
によって可能になったり障害が生じなくなった私的複製が認められなくなりますが
マジコンは変換された著作物等の「復元」はしているのでしょうか?
CSSは暗号化を解除して元の映像を「復元」しますが、マジコンは違法複製したソフトをそのまま「起動する」だけであって、影像が元から変換されてたりゲームプレイ時に復元しているようには思えませんが。DS本体がDVDプレイヤーと同じように本体にも暗号キーが用意されており、ゲーム起動時に暗号化されたデータを復元しているとしたら、ロードに時間かかりそうですね。
これもDSのプロテクト技術に私は詳しくないので、もしかしたら影像が変換されてROMに記録されていて、ゲーム起動時に毎回復元されているということもあるのかもしれません。少なくとも「特定の信号がなければ起動できないプロテクトを偽の信号を用いて突破する」ことが影像の復元にはあたりません(もともと技術的保護手段にあたらないからこんな検討は無駄ですが)。
いや、それ以前にマジコンを使って吸出しデータを不正に起動させること自体は著作権侵害になりませんね。上の第30条は「私的使用のための複製」の適用除外であって、複製権の問題です。
著作権上の権利(支分権)には「複製権」という無断複製を禁ずることのできる権利はありますが、プログラムを使用することに関する支分権はありません。マジコンが起動制御型のアクセスコントロールを回避してゲームを起動しても、ゲームを起動する行為は著作権の問題になりません。エミュレーターを用いて起動させる行為も同様です。
著作権の問題になりうるのはゲーム吸出し時です。
プロテクトがプログラム実行を抑止しているだけなのか、データやゲーム全体を暗号化 して記録されているのかによるでしょう。
そして、暗号化されているならばマジコンや吸出し機を用いてDSのROMを吸い出した時に音や影像を復元しているのかどうか。そのままそっくりコピーしている気がしますが。
文化庁の技術的保護手段ワーキングチーム報告書
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_11/pdf/shiryo_1_2_ver2.pdf
こちらを見ますとゲーム機・ゲームソフトのプロテクトがコピーコントロールであることが否定されていますね。
さらにDSのゲームの場合にはゲームデータが暗号されていない!お、これは大きな発見です。PSPは暗号化されてUMDに記録されている と書かれています。知りたかった情報がやっとみつかりました。
ということはDSの吸出しは違法でないことが確定でしょうかね。やっぱり起動を制限するプロテクトに過ぎませんか。何度もいいますが、今回改正により加わるアクセスコントロールとはCSSのような「暗号型技術」だけであり、不正なプログラム起動を制限するプロテクトではありません。
マジコン販売も不正競争防止法では規制できますが、著作権法では規制できないことになります。
でも2010年の資料だから、その後暗号化された可能性はありますか。
文化庁ワーキングチーム報告書が必ずしも正しいとは限りませんしね。とはいえ十分信憑性もあるでしょう。
DSプロテクトに関する情報が検索してもなかなか見つからず、私の知識では断言できません。調べた限りはDSROMにコピープロテクトや暗号化技術が用いられているという信憑性のある情報は見つかりませんでした。
少なくとも、マジコン事件でマジコンがアクセスコントロール回避装置と認められ、不正競争防止法で規制されているからといって、それを根拠に著作権法でも規制対象になるとはいえません。
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