被ばく牛真剣に調査を 浪江の牧場代表、都心で抗議
福島県浪江町の旧警戒区域内で、福島第1原発事故で被ばくした牛を飼い続けている牧場代表が20日、牛1頭を連れ、東京都内で抗議活動を行った。国が移動を禁じた福島第1原発から20キロ圏にある旧警戒区域内の家畜が、許可なく域外に出るのは初めて。
抗議したのは、福島第1原発から14キロ離れた浪江町立野の旧警戒区域(現在は居住制限区域)で約330頭の牛を飼う「希望の牧場・ふくしま」の吉沢正巳代表(60)。国の殺処分命令を拒否し、牛を保護してきた。
吉沢代表は同日午後、農林水産省を訪れ、国の殺処分命令の撤回や被ばく牛の調査研究の推進などを求めた。除染廃棄物の中間貯蔵施設建設をめぐる石原伸晃環境相の「最後は金目」発言にも反発し、環境省前でも抗議した。
原発事故後、全身に白い斑点が広がったという黒毛和牛1頭を連れた吉沢代表は「放射能の影響かどうか、政府は真剣に調べてほしい」と訴えた。
農水省前では、トラックから牛を下ろそうとする吉沢代表を警察官が阻止する場面もあり、周辺には一時、緊迫した空気が流れた。
2014年06月21日土曜日