2014年06月21日
日本対ギリシャ ~ぼくたちのサッカーができたかどうか~
日本のスタメンは、香川→大久保と森重→今野。スタメン変更に伴い、DFと2列目の選手配置に変更が出ている。図で確認して下さいな。
ギリシャのスタメンは、ゲカス→ミトログル。他にもあるかもしれない。かつての超ジャイアント・キリングによって、堅守速攻、ロングボール、セットプレーという代名詞で語られるギリシャ。しかし、EURO2012では華麗なポゼッションサッカーを目指していた。また、試合ごとに地道に自分たちの課題を克服していく監督の采配が印象に残っている。また、ポゼッションサッカーと心中する気はまったくなく、相手によって通用しないと見るや、かつての自分たちのサッカーに戻れる柔軟性を持ち合わせた非常に厄介なチームであったことを記憶している。
■万事を尽くして
ギリシャは4-1-4-1で日本に臨んだ。基本的な守備の役割は、コロンビア戦と同じ。日本の長谷部、山口をマンマークで潰し、CB→DHのボール循環をパスの受け手を潰すことで機能させない作戦。ハイプレスで日本のCBに襲いかかってくるか!とも予想されたが、そんなリスクを冒すのは失点してからでいいだろう、ということかもしれない。
DHをマンマークされたときに、DHの行う方法は2つ。上がっていくか、下がっていくか。日本の選択は後者である。長谷部と山口は日本のCB付近でプレーすることで、ギリシャのプレッシングの届かない場所でプレーする道を選んだ。また、DHがCB付近でプレーすることで、今野を左サイドに押し出すことに成功。よって、今野を起点とする日本の左サイドコンビーネーションを発動させる条件が整っている。森重→今野の変更は、左サイドから攻撃を仕掛けるときの起点として、今野の運ぶドリブルをより評価したのだろう。
ギリシャの守備の特徴に、カツラニスが人についていく傾向がある。この試合では目の前に目立つ本田がいるので、本田のポジショニングに依存して行動する場面が目立っていた。よって、本田の空けたスペースに大迫が落ちてきて、ボールを受ける場面が目立つ序盤戦となった。ギリシャの守備の特徴、インサイドハーフはDHに突撃、アンカーの選手は相手のトップ下の選手に首ったけを利用して、自分たちの長所を活かすような仕組みが装備されている日本。
大迫を落としたあとに相手のCBの基準点がなくなる。ゼロトップ的な思想ならこの状況を歓迎するが、日本はそのような思想でプレーしていない。CFの代わりにこの位置に飛び出す選手がほしい。よって、左サイドに香川でなく、岡崎が起用された。岡崎は長友との縦のポジションチェンジと大迫の空けたスペース、または大迫の裏のスペースを狙うことで、チームのバランスを保つ役割を実行していた。
ザッケローニの誤算があるとすれば、ギリシャのDFの役割。CBは出来る限り、自分のエリアから離れない。もちろん、大迫がそばにいれば、フィジカル勝負に持ち込む。しかし、大迫をどうしてもついていって潰すようなプレーは見られなかった。大迫をフリーにしても問題ないというよりは、中央のエリアを埋めること、自分たちが動かないことを優先しているように見えた。しかし、SBはレッツ迎撃。特に岡崎に対する圧力は尋常でなかった。後方からのボールに対して、相手を背負ってプレーする岡崎。ファウルされたり、わざと倒れているんじゃないとレフリーに言われたりと大変そうだった。そして、大迫の裏を狙う岡崎だが、そこに待ち構えるのはCB。それでも愚直に行う岡崎であった。ギリシャの狙いとしては、日本の縦パスをインターセプトしてそのままカウンターに繋げたかったのだろう。
岡崎が左サイドで苦戦するも、長谷部のサポート&今野の運ぶドリブルでなんとかなりそうな左サイドコンビーネーション。そこに本田が登場。恐らくボールを触りたかったのだろう。カツラニスもさすがに深追いを意識して、本田を離すポジショニングになる。なお、ポジションを下げた本田がボールを持っているときに良いプレーをした記憶はあまりない。ただし、本田の空けたスペースに大久保が登場する。これもザッケローニの仕込みだろう。大久保は相手のSBに迎撃されないように、中央に移動して大迫をピン止めとして利用。ピン止めとは守備の基準点を複数用意することで、フリーになる作戦である。図で言うと、マノラスは大久保に行きたいけど、大迫が気になる、みたいな。日本は左サイドがつまれば、吉田の運ぶドリブル、内田の攻撃的なポジショニングでで相手をサイドに広げて中央を使うなど、バランスよく攻撃を仕掛けていた。
ギリシャの攻撃について少し。日本のプレッシングに対して、ロングボールによる回避を狙う場面が多かった。方法としては、サマラスに放り込み→SBかインサイドハーフを内田の裏に走らせる。または、日本のFWとMFの間のスペースに人を飛び出させるくらいであった。または、個人技による特攻。この最後の特攻でフィニッシュまで持って行かれたのはなかなかきっつい場面だった。
ギリシャは徐々に修正を行う。ちなみに、4-4-2気味に見えたのは、日本のDHにつられすぎただけだった。大事なことはSBの迎撃を大久保にも行ったことだ。中央で相手のSBとバトルする大久保が目撃されるようになる。ギリシャのSBの位置にはサマラスが登場。味方にハイボールを要求するときに頭ではなく、胸を指さすのがサマラス。この岡崎と大久保は逃さない迎撃システムからギリシャはカウンターを繰り出すことに成功する。ただし、カウンターのカウンターを長友を中心に食らう場面も見られていた。そして、41分に本田とずっと一緒だったカツラニスが退場する。そして、カラグーニスが登場。ついでに、ゲカスも登場する。
4-4-1で守ることで、大迫の利用していたエリアが使えなくなった、、、というのは真っ赤なウソのようなもの。ギリシャは11人いるかのように、DFの選手がボールにつられる場面が目立つ。その結果、山口から縦パスが繰り返されるようになり、大迫が目立ち始めるから面白い。特に裏への飛び出しで大迫が深さを作ったり、本田にポストプレーでチャンスメイクしたりと相手が10人になってから、地味に輝いていた。
そんな大迫の動きに警戒したかギリシャ。ハーフタイムを挟んで、ゲカスを中盤に落とす奇策に出る。日本は遠藤を登場させ、ボール支配からの仕掛けの精度向上に乗り出す。しかし、誤算がいくつか。ギリシャが自陣に撤退したことで、自陣のエリアを空けないようになった。そして、ゲカスが中盤の守備に参加するようになり、中央が非常に分厚くなったギリシャ。ここまではギリシャの動き。日本側も問題が起きる。それは今野。相手が退場したこともあって、後方からの攻撃参加のリスクは少なくなる。前半は果敢に仕掛けていた今野。目の前に遠藤が出現したことで、攻撃参加する場面が激減する。つまり、相手が一人減ったけど、今野が攻撃参加しなくなったので、計算ではあんまり変わらないという切ない状況になった。
しかし、そこは遠藤。岡崎のポスト&裏抜けを利用しながら、内田の攻撃参加を利用することで、攻撃を操っていく。迎撃型のSBを持つギリシャはSBがどこかへ消えてしまう場面があった。しかし、日本はそのスペースを利用できる選手がいなかった。各々の役割を考えると、リスク上等の考えを用いてSBしかいない。よって、登場する内田。そして、左サイドを延々と駆け上がる長友。特に長友は味方のパスというよりは、セカンドボール&インターセプトからのカウンターで相手を苦しめていた。
日本は大迫→香川が登場。この試合の岡崎のポストプレーに多くを求めるのは酷だが、左サイドでのポストプレーで苦戦する岡崎を開放する狙いがあったのだろう。香川は内田の攻撃参加を見逃さずに大久保への決定機を演出することに成功する。また、迎撃型を嫌がった大久保がポジションを落とすことによって、内田の攻撃参加を促しながら、組み立てにも関わることで、徐々にギリシャ陣内に侵入していくようになっていく。70分にはとうとう今野も上がってくる。そして内田のスライディングシュートに繋がる。しかし、ゴールに届かない。
長友より右サイドのほうがやばいじゃないか!!というわけで、ギリシャはサイドの封鎖に取り組む。SBは迎撃スタイルを続けていたので、強制的に守備をするのはSHとなる。まさかのモウリーニョ殺法。この変更で内田と長友が苦戦するようになる。それだったらと、本田が薄くなった中盤の位置から勝負を仕掛けるが、どうにもゴールに届かない。繰り返されたセットプレーもキーパーのファインセーブに阻まれる。やることはやったので、あとはパワープレーだろうと吉田が上がっていく。しかし、ハイボールを送らない日本。吉田攻撃参加後は様子見。しかし、餅は餅屋。やっぱり放り込むが偶然はなかなか日本を味方してくれなかった。試合はスコアレスドローで終わる。
■独り言
最後まであきらめず一矢報いようとする精神力で、コロンビアと戦いましょう。
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- posted by らいかーると
- 01:04
- ブラジルワールドカップ2014
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日本対ギリシャ ~ぼくたちのサッカーができたかどうか~
コメント投稿者ID : kajav
大迫選手の交代が私には謎でした。
交代するなら岡崎選手と思っていたので。
本田選手以外にポストプレイをこなす選手が居なくなりゴール付近でポストプレーという最も単純な事が出来なくなり大迫選手が交代後バックパスや横パスが明らかに増えました。
最後の交代枠を残り15-20分で山口選手なりを斉藤選手や柿谷選手へ交代して吉田選手を前線に上げずに縦パスやドリブルで突っ込んでいけばチャンスがかなり増えたと思われますが、大迫選手を交代させた時点で縦パスの選択肢はほぼ無くなりましたけど。
あとは内田選手の低いクロスに誰も飛び込まないというプレーがありましたが、あり得ない出来事でした。
大久保選手が外したシュートよりも誰も飛び込まなかったことの方が問題です。
乱文ですみませんが上記3点が無得点終わった要因と考えております。
日本対ギリシャ ~ぼくたちのサッカーができたかどうか~
コメント投稿者ID : supelpippo
交代3枠目を切らなかったのが怪しすぎるので、早くコロンビア戦終わって欲しいです。
それでちっとは分かると思っています。
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