観光客数2種類、混乱招くかも 京都府「どちらも正確」
京都府が2013年に府内(京都市を含む)を訪れた観光客数として「7787万人」と「6129万人」という異なる二つの調査結果を公表した。府の独自基準で計算した数字と、観光庁の全国共通基準で算出した結果で、府は「どちらも正確」という。ただ、1600万人以上もの開きがある二つの数字が並立することは混乱も招きそうだ。
「7787万人」は、府が観光統計として用いてきた基準で、各市町村にある観光スポットやイベントの訪問・来場客数を単純合計している。1人の観光客が2カ所の観光地を訪れた場合は「2人」とカウントされる。府内を訪れた観光客の延べ人数を示している。
「6129万人」は、観光庁が09年に示した全国統一の「観光入込客統計に関する共通基準」に沿って初めて算出した。府内の主要観光地から集計した訪問・来場者数を、別のサンプリング調査で調べた平均訪問箇所数で割っている。観光客の重複カウントを避けた「実数」を表す。
二つの違いはそれだけではない。共通基準の調査地点は原則、前年の訪問客が年間1万人以上の施設や場所に限定している。このため、府独自基準では府内595地点あった調査対象地点が、共通基準では215地点に減る。
府は「京都市を除く府内は小規模な観光スポットが多く、共通基準ではこうした観光地が考慮されなくなる」(観光課)として、従来の府独自基準と共通基準の双方で算出した観光客数を公表することにした。
府は20年までに府内の観光客数を8千万人にする目標を掲げている。14年以降も二つの数字を出す方針で「きめ細かな観光振興施策を進め、府の独自基準をベースに目標を達成したい」とする。一方、観光庁観光戦略課調査室は「恣意(しい)的になりがちな自治体の調査ではなく、同じ指標で比較ができるようにと共通基準は設けられた。共通基準による調査を公表し、各都道府県に役立ててもらえるようにしたい」としている。
坂上英彦・京都嵯峨芸術大教授(観光デザイン)は「京都市内のように何カ所も観光スポットを訪問できる場所と、観光地が点在する地方は状況が違い、地域観光政策の指標として延べ人数での観光客数把握は意味がある」とする一方、「延べ人数を京都の観光実態とすれば現状を見誤る恐れがある。公表にあたっては調査結果を検証しながら共通基準に統一する努力が必要だろう」と話している。
【 2014年06月20日 08時30分 】