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 自民党は20日、集団的自衛権をめぐる公明党との協議で、国連の決議に基づいて侵略行為などをした国を制裁する集団安全保障の際、自衛隊が武力行使できるようにする案を公明党に示した。だが、公明党は自衛隊による海外での武力行使が際限なく広がるとして強く反発。大詰めを迎えた協議の最大の論点となっている。

 与党協議で自民側は、集団的自衛権を含む自衛権発動の前提として示した「3要件」に、集団安全保障での武力行使も認めるよう提案した。空爆など前線での戦闘行為は認めないが、海にまかれた機雷を爆発させて除去するなどの行為は許されるとの考えだ。

 安倍晋三首相は、集団的自衛権の必要性を説明する際、自衛隊の活動範囲を地理的に縛らないとの考え方から、中東ペルシャ湾のホルムズ海峡など海上交通路(シーレーン)での機雷除去を例に挙げてきた。ただ、集団的自衛権を使って機雷除去にあたる途中で、国連安全保障理事会の決議で事態が「集団安全保障」に変わると、憲法9条を踏まえて自衛隊は活動を中止しなくてはならない可能性があり、政府・自民は支障が出るとみている。また最初から国連決議で多国籍軍が結成された場合、機雷除去などにまったく参加できなくなるとの懸念もある。