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朝鮮総連本部の売却 いったん停止
6月20日 17時17分

朝鮮総連本部の売却 いったん停止
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朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会の中央本部の土地と建物について、最高裁判所は、朝鮮総連が行っている不服申し立ての結論が出るまで高松市の企業に売却する手続きをいったん停止する、異例の決定を出しました。
最高裁は、売却を認めた地裁と高裁の決定が妥当かどうか、慎重に検討するものとみられ、中央本部の不動産の売却は、決着するまでさらに時間がかかる見通しとなりました。

競売にかけられている東京・千代田区の朝鮮総連中央本部の土地と建物は、去年10月の入札でモンゴルの会社が最も高い価格をつけましたが、東京地方裁判所は「提出文書に問題があった」などとして落札者と認めず、2番目に入札価格が高かった高松市の「マルナカホールディングス」に売却を認める決定をしました。
さらに東京高等裁判所も先月、この売却を認めたため、マルナカホールディングスが落札価格の22億1000万円を支払いさえすれば所有権が移る状態になっていました。
朝鮮総連はこれを不服として、最高裁判所に抗告し「入札をやり直すべきだ」と主張しています。
こうしたなか、最高裁第3小法廷の木内道祥裁判長は、朝鮮総連が1億円を供託することを条件に、不服申し立てへの最高裁の結論が出るまでの間、いったん売却の手続きを停止する決定を20日までに出しました。
最高裁は、入札をやり直さないまま、2番目に高い価格をつけた企業を落札者と決めた方法が妥当だったか慎重に審理するとみられ、中央本部の不動産の売却は決着するまでさらに時間がかかる見通しとなりました。
朝鮮総連は、NHKの取材に対し「特にコメントすることはありません」としています。

企業側「待つしかない」

売却手続きをいったん停止するとした今回の最高裁の決定について、高松市のマルナカホールディングスの代理人を務める弁護士はNHKの取材に対し、「まだその情報を確認していないのでコメントできる状況ではない。これまでも事実上、手続きは止まっていたので引き続き待つしかない」と話しています。

朝鮮総連中央本部「事実上の大使館」

朝鮮総連は、北朝鮮を支持する在日朝鮮人で構成される組織で、一部の幹部は、北朝鮮の国会に当たる最高人民会議の代議員を務めるなど、本国の指導部と密接な関係があります。
ことし3月に行われた最高人民会議の選挙でも、ホ・ジョンマン議長ら5人が代議員に選出されました。
その最大の活動拠点である中央本部は、昭和61年に、結成30年を記念して今のビルに建て替えられました。
キム・イルソン主席の誕生日を祝う催しなどが開かれる「大会議室」や、要人との会食などに使われる食堂が配置されているほか、各フロアーには、議長や副議長ら幹部の執務室などがあります。
北朝鮮と在日朝鮮人を結ぶ「事実上の大使館」とも呼ばれていて、北朝鮮や朝鮮総連の幹部は、施設が人手に渡りその威信が低下することに、危機感を持っているとみられています。

朝鮮総連異例経過の競売

朝鮮総連の最大の拠点である中央本部。
その土地と建物は朝鮮総連に627億円の債権をもつ整理回収機構の申し立てで競売にかけられています。
1回目の入札は去年3月に行われ、鹿児島県の宗教法人が落札しましたが、45億円余りの代金を期限までに納めることができず、入札がやり直されることになりました。
2回目の入札は7か月後の去年10月に行われ、モンゴルの企業が50億円余りと最も高い価格をつけました。
しかし、東京地方裁判所は、このモンゴルの企業について3か月かけて審査した結果、ことし1月に「提出された文書はカラーコピーの疑いがあり、モンゴル政府の認証もない」などとして落札者と認めませんでした。
そのうえで、入札の再度のやり直しは行わず、2回目の入札で2番目に高い価格をつけていた高松市の企業「マルナカホールディングス」に売却を認める決定を2か月後に出しました。
さらに東京高等裁判所も先月、この企業への売却を認めました。
その一方で、朝鮮総連が求めていた裁判所の判断が確定するまでの間の売却手続きの停止は認めなかったため、マルナカホールディングスが落札価格の22億1000万円を支払いさえすれば所有権が移る状態になり、このままこの企業に売却されるとみられていました。
しかし今回、最高裁が落札者を決めた方法が妥当だったかどうか結論を出すまでの間、売却手続きを停止する決定を出したことで、中央本部の不動産の売却は決着までさらに時間がかかる見通しになりました。

北朝鮮「裁判所の決定取り消しを」

朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会の中央本部の売却問題を巡って、北朝鮮は「わが人民のいちばんの関心事だ」として、日本政府に対して裁判所の決定を取り消すよう求めています。
先月、スウェーデンのストックホルムで行われた日本との政府間協議で、両国が合意した内容には「在日朝鮮人の地位に関連する問題については誠実に協議していく」という文言が入りましたが、ソン・イルホ日朝国交正常化担当大使は朝鮮総連の問題も含まれるという認識を示しています。
北朝鮮としては、拉致被害者などの再調査を巡って、近く開催される日本との政府間協議でもこの問題を取り上げ、日本側の柔軟な対応を求めるとみられます。

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