集団的自衛権:「集団」「個別」区別せず 政府方針
毎日新聞 2014年06月20日 22時56分
◇閣議決定後の国会答弁などで「自衛の措置」と
政府は20日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定後、行使容認について国会答弁などで「国際法上は集団的自衛権」と説明する一方、憲法解釈上は集団的・個別的を明確にしない「自衛の措置」とする方針を固めた。同日の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」に示した閣議決定原案で、日本の武力行使を「国際法上の根拠と憲法解釈は区別」すると明記した。また自公両党は同日、国連の集団安全保障での武力行使解禁を閣議決定に明記しない方針で一致した。
閣議決定原案は、日本の集団的自衛権の行使に関する項目の表題を、「憲法9条の下で許容される自衛の措置」とするにとどめた。さらに国際法上の根拠と憲法解釈を区別するとし、「国際法上は、集団的自衛権が根拠となる」とした。
安倍晋三首相は、閣議決定に「集団的」の文言を盛り込むよう強く指示している。一方、公明党は集団的自衛権行使を認めなかった従来の憲法解釈との整合性を重視しており、「国際法では集団的自衛権、憲法解釈上は自衛権」とすることで、双方の主張を立てる折衷案といえる。
国連憲章は、加盟国が自衛のために武力を使う根拠として▽自国が攻撃された場合に反撃する個別的自衛権▽自国への攻撃はないが、他国に対する攻撃に反撃する集団的自衛権−−の二つを明記。これに対し、日本の憲法9条に個別的自衛権、集団的自衛権という直接の表記はない。
このため、政府関係者は閣議決定原案について「仮に自衛隊の活動が国際法の『集団的自衛権』に当たる行為であっても、国内向けの憲法解釈としては『ただの自衛の措置だ』と言うことができる」と指摘。公明党が「集団的自衛権の行使を容認したわけではない」と支持者らに説明できる、という思惑もあり、自民党幹部は「公明党への最大限の配慮だ」と強調した。
こうした考え方は公明党も共有しており、同党の山口那津男代表は20日の党の会合で、「与党協議を尽くし、与党の責任として合意形成を果たさなければならない」と強調した。