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プロ野球コラム
2005年以来フル出場を続ける鉄人・鳥谷敬。打率は.262~.301ときわめて安定し、ゴールデングラブも2度手にしている。今年1500本安打を達成し、2000本へ向けて驀進している。
photograph by Naoya Sanuki
野ボール横丁

早大恩師が語る鳥谷敬の「成長率」。
同級生・青木宣親とも違う独自の輝き。

中村計 = 文

text by Kei Nakamura

photograph by Naoya Sanuki

「あんなもんじゃないんだけどなあ」

 4年ほど前のことだ。鳥谷敬の早大時代の恩師、野村徹は、そう嘆息していた。

「プロに入ってからの成長率が低い。まだまだできるはず」

 '04年に自由獲得枠で阪神に入団した鳥谷は、プロ1年目から一軍に定着し、2年目にショートのレギュラーを奪取。以降、目立った数字はないものの、コンスタントに成績を残してきた。だが、それでも野村が不足と感じるのは、鳥谷の早大の同級生である青木宣親(ロイヤルズ)の存在がちらついていたからでもある。

 青木はドラフト4巡目でヤクルトに入団。ドラフトの目玉として騒がれた鳥谷とは対照的に、ひっそりとしたスタートだった。ところがプロ2年目に突然開花する。シーズン202安打をマークし、首位打者を獲得。一躍、スターダムにのし上がった。それ以降の活躍は語るまでもないだろう。

よく怒られた青木、教えることがなかった鳥谷。

 野村は、そんな青木のことを「あんなに怒った選手もいない」と回想した。

「青木は足も速いので、1、2番タイプとして自分を生かして欲しいと思っていた。だから、口を酸っぱくして『おまえは出塁に徹してくれ』と言い続けた。でも、飛ばす力もあるもんだから、私がブルペンなどに行ってると、気持ちよさそうにライト方向へ引っ張ってる。そこで私がまた雷を落とすわけです」

 一方、鳥谷に対して野村はほとんど何も言った記憶がない。

「鳥谷の実力は、入学した時点で頭一つ抜けてましたからね」

 エリートが集まる早大で、鳥谷は1年春からショートとして定着。2年春には、史上最速タイで三冠王を獲得した。野村が続ける。

「青木のように手取り足取り教えたことはまったくなかった。1年生のときに、私の手をすでに離れてましたから。僕が指導したのは、キャッチボールのときの投げ方ぐらいかな。それ以外は、プロに入ってから教えてもらえばいいと思っていた」

【次ページ】 大学時代に語っていた、自身の「武器」。

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