厚木の男児白骨遺体:パパ…男はすがる息子残し家を出た

毎日新聞 2014年06月20日 06時15分(最終更新 06月20日 08時11分)

お供え物を届けに訪れた人が書いたとみられる張り紙=厚木市下荻野で2014年6月19日午後5時4分、長真一撮影
お供え物を届けに訪れた人が書いたとみられる張り紙=厚木市下荻野で2014年6月19日午後5時4分、長真一撮影

 神奈川県厚木市下荻野のアパートで当時5歳とみられる斎藤理玖(りく)君の白骨化遺体が見つかって3週間。理玖君は母親(32)が家出した2004年10月以降、電気もつかないアパートの一室に、2年間にわたって閉じ込められていた。雨戸が閉め切られ、外部との接触を断たれた「密室」で何が起きていたのか。斎藤幸裕容疑者(36)が理玖君を放置するまでの状況が、神奈川県警などの捜査で明らかになってきた。【水戸健一、松浦吉剛、高木香奈】

 理玖君の遺体は5月30日、2DKアパートの6畳の和室で見つかった。生きていれば13歳の誕生日だった。身長は4〜6歳児並みの約1メートル。薄い布団に横たわり、変色した服やおむつを身に着けたままだった。周囲にパンやおにぎりの包装、コンビニ弁当の容器などが高さ1メートルほどに積み上がり、電気とガスは止められていた。

 理玖君は、斎藤容疑者と母親が01年5月にアパートに入居した直後に誕生した。近所の住民は、子供服を洗濯して干す母親の姿を見かけていた。母親は04年10月8日夜、理玖君を残したまま突然、家を出た。「気に入らないことがあると口論になり、殴られた。(斎藤容疑者は)息子には暴力を振るわず、自分より経済力があった」。県警に家庭内暴力に悩んだ末の家出だったと説明した。

 アパートの雨戸は固く閉ざされたままになった。料金未払いですぐに電気が止められ、理玖君は真っ暗な部屋で斎藤容疑者の帰りを待つようになる。遊びたい盛りの理玖君が、不在時に1人で外に出たことがあったため、斎藤容疑者は和室の窓とふすまを粘着テープで目張りし、閉じ込めた。理玖君の死亡推定時期は06年10月〜07年1月。母の家出から約2年間、太陽の光を浴びることも外の空気を吸うことも、ほとんどなかったとみられる。

 斎藤容疑者は、理玖君が飽きないようにパンやおにぎりの種類を変え、苦手な炭酸飲料を避けて水を与えた。2人での生活が始まってから約3カ月間は、夜勤を終えると週5日程度アパートに帰って一緒に食事をした。トイレの習慣を付けていなかったため、おむつも交換した。

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