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【社会】

砂川事件 再審請求 元被告ら「公平な裁判侵害」

2014年6月18日 07時07分

砂川事件の再審請求後、記者会見する元被告の土屋源太郎さん(右)ら=17日、東京・霞が関の司法記者クラブで

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 旧米軍立川基地(東京都立川市)の拡張に反対する学生らが逮捕された一九五七年の砂川事件で、有罪判決が確定した土屋源太郎さん(79)=静岡市=ら元被告三人と遺族一人が十七日、「公平な裁判を受ける権利を当時の最高裁長官に侵害された」と、裁判のやり直しを求めて東京地裁に再審請求した。五十年前の確定判決を取り消す「免訴判決」をめざす。

 土屋さんらは、当時の田中耕太郎最高裁長官(故人)が米側に判決の見通しなどを伝えていたことを示す米公文書三通を、新証拠として地裁に提出した。

 事件の最高裁判決は、駐留米軍を合憲とするとともに日本の自衛権にも言及。安倍政権はこれを集団的自衛権の行使容認の根拠に引用している。土屋さんらは十七日に記者会見し「再審請求は、立憲主義を根底から覆そうとする安倍政権への抗議の意思表示でもある」とした。

 再審請求書によると、逆転有罪を決定づけた五九年十二月の最高裁大法廷判決をめぐり、田中長官は事前に駐日米大使らと非公式に三度面会。一審無罪判決を破棄する見通しや審理日程、判事十五人の全会一致を導く意向などを伝えていた。

 当時の在日米大使館の電報や書簡が二〇〇八年以降に米公文書館で機密指定を解かれ、判明した。

 土屋さんらは「評議の秘密を定めた裁判所法七五条に反し、田中長官が裁判長を務めた大法廷は、憲法三七条が被告人に保障する『公平な裁判所』ではなかった」と指摘。訴訟手続き上の憲法違反があり、「差し戻し審の裁判官は、裁判を打ち切る免訴判決を選択するべきだ」と主張している。

 ほかの請求者は、いずれも元被告の椎野徳蔵さん(82)=神奈川県茅ケ崎市、九州大名誉教授の武藤軍一郎さん(79)=福岡県篠栗町=と、昨年他界した元川崎市議坂田茂さんの長女和子さん(57)。

 <砂川事件> 1957年7月8日、旧米軍立川基地の滑走路拡張に反対する学生と労働者らが境界柵を倒して基地内に入った。23人が逮捕され、7人が日米安保協定の実施に伴う刑事特別法違反罪で起訴された。東京地裁は59年3月「駐留米軍は憲法9条違反」として無罪としたが、検察が高裁を跳び越す「跳躍上告」をし、最高裁大法廷は同12月「安保条約は高度な政治性があり、裁判所が司法審査をするのは適当でない」と地裁判決を破棄。差し戻し審で地裁は罰金の有罪とし、64年1月に確定した。

(東京新聞)

 

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