フランスは原子力に対する高い依存度を大幅に下げることを目指し、原発の発電能力に上限を設定する。
社会党政権が18日に明らかにした「エネルギー転換法」はフランソワ・オランド大統領の選挙公約の1つを改めて打ち出したもので、現在は先進国最高の約75%に上るフランスの総発電量に占める原子力の割合を2025年までに50%に引き下げるという内容だ。
批判的な向きは、フランスが欧州で最安値の部類に入る電力料金を設定することを可能にした貴重な戦略資産を政府が傷つけてしまうと言う。
だが、政府は左派および連立相手の緑の党からの圧力を受け、他国に後れを取っている非原子力の再生可能エネルギー分野での成果を高め、野心的な環境目標を達成するために、エネルギーミックスを再調整する必要があると主張する。
「我々は原子力を廃止するわけではないが、(エネルギーミックスにおける)割合を下げなければならない」。エネルギー相のセゴレーヌ・ロワイヤル氏はこう述べた。「我々が安全なエネルギー転換を図れるのは原子力のおかげだ」
■現行水準の発電量を上限に
新法は原発の発電量に、現行水準である63.2GW(ギガワット)の上限を設ける。ドイツとの国境近くにある、既存の原発58基の中で最も古いフェッセンハイム原子力発電所を2016年までに閉鎖するというオランド氏のもう1つの選挙公約については、具体的に言及することを避けた。
だが、新たな上限は既存原発の閉鎖に関する決断を迫る。ノルマンディー地方にあるフラマンビル原子力発電所の設備容量1630MW(メガワット)規模の次世代欧州加圧水型炉(EPR)が2016年に操業を開始し、原発の全体的な発電能力が高まるからだ。
原子力への依存は、フランスが他の再生可能資源を開発するのが比較的遅かったことを意味する。非原子力の再生可能エネルギー生産は全体の15%を占めるが、その大半は水力と木材に由来するものだ。
新法は非原子力の再生可能エネルギーを2025年までに発電量の40%に、そして2030年までにエネルギー消費量全体の32%に引き上げる目標を定める。また、2012年の水準と比べ、化石燃料の消費を2030年までに30%、エネルギー消費全体を2050年までに50%削減することを掲げている。
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