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オタク研究会は現在新入部員を募集していません。 作者:二三四五六七

第6章

6-6

『まあいいや。入ってもいい? 直斗』

「入ってもいいがとりあえずお前はインターホンのカメラから少し離れろ」

『ああ、ごめんごめん』

 本当に気付いていなかったのか否か、そう謝りながら彩楓はインターホンに取り付けてある小型のカメラから離れる。彩楓が離れたことで、彼女の後ろに先程からずっと立っていたであろう宝船の姿が確認できた。

「鍵は開いてるから、勝手に入ってきてくれ」

『不用心だなー』

「今日はお前等が来るから開けておいたの。いつもはちゃんと戸締りしてるから安心しろ」

『そんなこと言って部屋の窓の鍵は開けっ放しじゃん』

「窓から不法侵入してくる奴はお前くらいしかいないからだよ!」

『そう言えばそうだね。あっ、でさ、直斗! 今日朝のニュースでやってた占いの結果なんだけど――』

「その話を今ここでやるか!? 家に入るつもりないなら門前払いするぞ!」

『ごめんごめん。それじゃあ、お邪魔しまーすっ』

 彩楓の言葉をそこまで聞いて、僕はテレビドアホンの電源を落とした。

 現状の説明の補足をしておくと、彩楓は宝船を駅前まで迎えに行ったのであった。宝船は僕の家を知っているから迎えは必要ないと僕は言ったのだが、彩楓いわく「直斗はもう宝船さんと仲良いみたいだけど、あたしはそこまでまだ良くないからお迎えに行って直斗の家に行くまでの間で少しでも仲良くなってくるよ!」ということだったらしい。

 それなら止める理由はないと、僕は彩楓を駅前まで送り出したのであった。まあ、彩楓と宝船が仲良くなってくれるのは一向に構わない。2人が仲良くなってくれれば、必然的に2人の勉強会での会話も弾むだろうし、そうなれば運命的に僕が勉強に集中できる時間も増えるというものである。

 彩楓と宝船が仲良くなって、僕の勉強時間も増える。

 まさに一石二鳥とはこのことだ。

「ふっふっふ……」

「何怪しい笑い方してるの?」

 僕が頭の中で今回の計画(と呼んでいいのか分からないが)を反芻はんすうしていると、いつの間にかリビングに彩楓と宝船がやってきていた。

「いやちょっと、昨日観たアニメの思い出し笑いをしていた」

「キモッ」

「キモいとか言うな」

「気持ち悪い」

「略さずに言うな!」

「まあ、直斗がそんな感じなのは前から知ってるから、今更どうこう言ったって仕方ないんだけどねー」

 そう言いながら彩楓はテーブルの4つある内の一角に腰を下ろした。それに続いて、宝船が彩楓の隣の一角に座る。僕は元々勉強道具を置いていたテーブルの一角――彩楓の向かいに腰を下ろした。

「だったら尚更キモいとか言ってんじゃねえよ」

「ごめんごめん。でも、今の発言できっと宝船さんも引いちゃってるよ、直斗。ねえ? 宝船さん?」

「そ、そうね」

 彩楓の問いに宝船は苦笑する。まあ、お前も同類な訳だから同意はし難いだろうな。

「で、でも、普段萩嶺君がこんな感じなのは教室で見かけるだけで分かるから、そこまでのイメージ崩壊はなかったわね」

「そっかそっか。直斗って、誰に対してもこんな感じだからさー。宝船さんに直斗が嫌われちゃったらどうしようかと思ったよ」

「大丈夫よ。人が何をしようがそれはその人の勝手だし……だから、例え萩嶺君がアニメオタク全開でも私は萩嶺君のことを軽蔑したりしないわ、多分」

 最後の一言がまた余計だったな。

 しかし、オタ研での部室で毎回僕を罵ってくる宝船がここまで言うとは何事か。あれはきっと演技に違いない。心の奥底ではおそらくその言葉と真逆のことを思っているのだろう。

 あいつはそういう奴だ。

「ふーん……そっか。宝船さんは優しいんだね」

「や、優しいとか、そういう訳じゃないから」

 微笑む彩楓に対して気恥ずかしそうに俯く宝船。

 てか、いつまでこんな感じで雑談を続けるつもりだよ。

「……さて、そろそろ勉強始めるか。いつまでもこうして雑談してても、こうやって集まった意味がないだろうし」

「は、萩嶺君の言う通りね、そろそろ始めましょうか」

「……あたしはもう少しこのまま話してても全然構わないけど」

「彩楓」

「わ、分かったよ! 勉強すればいいんでしょすれば!」

 僕が睨みを利かせるとすぐさま彩楓は断念した。態々宝船まで呼んで僕の家で勉強会をしているのだから、それをないがしろにするのは許さん。
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