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オタク研究会は現在新入部員を募集していません。 作者:二三四五六七

第6章

6-2

「あー、ゴルディスタちゃんの安否が気になるわ。もし死んでしまっていたらどうしましょう……そしたら、その日をゴルディスタちゃんの命日にして毎日線香を立てないといけないわね」

 こいつ、最早ファンというか病人だ。早く何とかしないと手遅れになる。

「……実は僕良い精神病院を知っているのだが」

「え? 萩嶺君行きつけの?」

「違う。どちらかと言えば行くのはお前だ」

「それはどういう意味なのかしら? 精神病院送りにするわよ」

「お前、僕に一体全体何をするつもりだ!」

 精神病院送りにするって。お前は人の精神を惑わせる黒魔術でも使えるというのか。

「ああ、駄目だわ。このままだと頭がゴルディスタちゃんのことで埋まりそう」

「既に埋まっているような気がするのは気のせいか」

「とりあえず、今は勉強の方に意識を向けないとね」

 普通に自然と僕の言葉をスルーする宝船なのであった。

「勉強って……ああ、そう言えば、もう少しで中間テストか」

「そういうことよ。萩嶺君は勉強、しているのかしら?」

「してるよ」

「それは嘘ね」

「即答で否定するな」

 否定するまでに1秒もかからなかったぞ。

「だって、毎日学校でゲームしたり、アニメを観たり、ラノベを読んでいるあなたが勉強なんてしている訳がないもの」

「どんな偏見だよ。僕だって勉強くらいしてる。どちらかと言えば、心配なのは彩楓の方だ」

「確かに、今までの授業での発表とかを鑑みるに、躑躅森さんが勉強できるようには……申し訳ないけれど、とても見えないわね」

「だろ? だから、今回も僕が教えないといけないだろうな。中学の頃も、テスト前は僕があいつに教えていたし」

「……ふーん、そうなの。まるで、二次元のキャラのようなイベントを経験しているのね、萩嶺君は」

「は?」

「幼馴染と勉強会とかまるでギャルゲーみたいじゃない?」

「何を言っているんだお前は。てか、そういうお前はひょっとしてギャルゲーもやったことあるのか?」

「……お、女の子がギャルゲーなんてやる訳がないじゃない」

 声が若干震えている。その反応は絶対やったことあるな、お前。

「だ、大体、女子がギャルゲーをやるなんてどうなのよ」

「別にいいんじゃないか? それはそれで」

「……そういうものなのかしら」

「そういうものだよ。お前がギャルゲーをやったことあるにしろ、やったことないにしろ、誰が何をやろうと別に構わないだろ」

「……そうね」

 呟いて、笑った宝船はまるで安堵したようにパイプ椅子に凭れ掛かる。

「あなたって、時々まともなことを言うわよね」

「心外だな。僕はいつだってまともだよ」

「という訳で、私と一緒に勉強会をしましょう」

「いやどういう訳だ」

 何の脈絡も無さすぎだろ。あまりに無さ過ぎてお前の言葉に対応できないところだったよ。

「勿論躑躅森さんも一緒よ?」

「お前が何の心配をしているのか知らないがとりあえず待て。どこでどうしてお前と僕が一緒に勉強会をすることになった」

「あなたと私が一緒に勉強会をすることは前世からの定めだったのよ……」

「中二病止めろ。それからお前説明する気ないだろ」

 まあまあ――と笑みを見せながら僕をなだめる宝船。

「いいじゃない。勉強って、案外誰かとやった方が楽しいし、はかどるものよ?」

「確かにそれはそうかも知れないがどうして僕と彩楓なんだよ。お前はお前で友達と一緒にやればいいじゃないか」

「だって私友達いないし。知り合いならいるけど」

「…………」

 突如沈黙に包まれる部室。宝船に友達がいない、だと?

「……えっ、お前って友達いないの?」

「ええ」

 僕の問いに即座に頷く宝船。

「私にいるのは知り合いだけよ」

「……知り合いと友達は違うのか?」

「違うわ、大いに違う。月とすっぽんくらいに違うわね」

 友達というのはね、と宝船は人差し指を立てて僕に説明する。

「自分の内面を曝け出せるような相手のことを指すのだと私は思うの。例えば、私で言ったらオタク趣味を気兼ねなく話せるような相手のことを言うのかしらね。あっ、萩嶺君は違うけれど」

「いちいち僕を傷付けなくていいからさっさと続きを話せ」
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