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「仕方ないよー、だってここのカツ丼美味しいんだもん」
「そういう問題じゃないと思うんだけどな……まあいいけどさ」
「? よく分からないけど……とりあえずどんぶり返してくるね」
キョトンとした表情で小首を傾げた彩楓はどんぶりの乗ったトレイを手に席を立つ。
今のやり取りで分かってもらえたと思うが、我が幼馴染は凄まじい大食いなのである。よく食べるからか、中学三年生の時点で僕よりも身長が大きくなってしまった。全く以て遺憾の意であるが、身長が抜かれてしまった以上、最早どうすることも出来ない。「縮め」と言って縮まるものでもないし。畜生。
そして、おそらく彩楓の身体の構造上、その食料の大量摂取による栄養分はそのほとんどが胸に割り当てられているものだと僕は考えている。というか、彩楓はきっと必然的に胸が大きい体質なのだろう。小学校の時も「聞いて聞いて直斗! 私身体測定でおっぱいの大きさクラスの中で一位だったんだ! 凄いでしょ!」とか言っていたし。
現在でも徐々に成長を続けている彩楓の胸は制服の上からでも分かるほどに大きい。この珠玖泉高校の中でもかなり大きい方ではないだろうか。いや、別に学校中の女子の胸の大きさを下調べした訳じゃないから分からないのだが。
とりあえず、彩楓の胸は大きいのである。
巨乳なのである。
というか僕はいつまで幼馴染の胸の話をしているのだろう。
あれは幼馴染の胸だ。しかし、それと同時に年頃の女の子の胸でもある。幼馴染にしろ、赤の他人にしろ、そこに巨乳があれば男は反応してしまうものなのではないだろうか。異論は認めるが。
「直斗、今エッチなこと考えてたでしょ?」
突然頭の上から落ちてきた彩楓の言葉に僕はゲーム機のボタンに添えていた指を滑らせてしまった。結果、敵の攻撃を避けきれず僕の操作するキャラクターは死亡。暗くなった液晶画面に『GAMEOVER』の文字が徐に現れる。
「心外だな、僕がエッチなことを考えていただって? そんなバカな」
「それじゃあ、今直斗はそんなこと考えていなかったって言うの?」
「当たり前だろ。お前の胸のことは考えていたが」
「やっぱり考えてんじゃん! そのゲーム機叩き割るよ!?」
「止めろ! 僕の体はどうなってもいいからこのゲーム機を叩き割るのだけは勘弁してくれ!」
「キモい! 何かそのゲームへの執着心何かキモいよ直斗!?」
「キモい言うなや! 真摯と言え! 真摯と!」
「どこが紳士!? 直斗は最早変態だよ!」
「そっちの紳士じゃねえよ! あと誰が変態だ!」
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