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 都議会の塩村文夏(あや・か)議員(みんなの党 Tokyo)への女性蔑視ともとれるヤジ問題。議会内にとどまらず、「セクハラだ」と数多くの批判を集めた。19日には超党派の女性都議が再発防止を訴えて動いた。抗議を受けた都議会最大会派の自民は「会派内で注意喚起する」との方針を示し、火消しに追われた。

 ◆塩村議員「晩婚化の悩み否定は問題」

 昨夏の都議選で初当選し、初めて質問に立った塩村氏。11分の持ち時間の約半分を、出産や不妊に悩む同世代の女性に割いた。

 「第1子出産時の母の平均年齢は東京がずば抜けて高く、32歳近い。不妊治療を受ける女性が増加している。悩みを抱える女性のサポートを都は積極的に進めていくべきだ」

 問題のヤジは、ここで飛んだ。「お前が早く結婚すればいいじゃないか」「産めないのか」。左前方の自民都議らが座る一角から、男性議員の声が響いた。

 塩村氏は「はっ」とため息混じりに苦笑し、左前方をちらっと見た。目に涙を浮かべ、声を詰まらせながら質問を続けた。「おい、動揺しちゃったじゃねえか」。別のヤジも飛ぶと、舛添要一知事や議員らの笑い声が議場に響いた。

 議場で暴言があった場合、議員は議長に議事進行を止める動議を求め、議会運営委員会を開くことができる。だが動議はなく、塩村氏の質問は終わった。自席に戻った塩村氏はハンカチで目を押さえた。

 塩村氏は19日、「(晩婚化は)東京特有の悩みなのに、バッジをつけた議員が否定をする。残念だし、問題だ」と憤った。

 ◇最大会派 自民、特定しない方針

 ヤジ問題が報じられた19日、都議会には1千件を超す抗議の声が寄せられた。塩村氏が所属するみんなの議員4人は総会を開き、20日に改めて吉野利明議長(自民)あてに発言者の処分を求める。24日の議会運営委員会でも、再発防止を訴える方針だ。

 超党派の女性議員全25人も、吉野議長あてに「同様のヤジが今後起きないように」と口頭で申し入れた。吉野議長は不在だった。

 共産の大山とも子幹事長は、申し入れの後に「女性蔑視が根底にある発言。自ら名乗り出るべきだ」。公明の野上純子議員は「ヤジは公明の議員が言ったのではない。同じ女性として許せない」と憤った。

 民主の石毛茂幹事長は「発言があった直後に傍観するのではなく、議事を止める動議を出すべきだった」と反省した。「都議会では、品位を欠くヤジが目立っている。こういう問題が続くと、都民の信頼も落ちる」と指摘した。

 自民の吉原修幹事長は「ヤジは議会の華と言われるが、個人を中傷するようなヤジは良くない」と話し、議員総会で再発防止を呼びかける。一方「ヤジの発言者は自民の議員ではないか」と疑われていることについては「臆測の話で言われても困る」と述べ、発言者を特定しない方針だ。

 ◆妨害の言動 罰則なし

 都議会の会議中のヤジは正規の発言では無いため、議事録には記載されない。都議会会議規則は「何人(なん・びと)も会議中は、みだりに発言し、騒ぎその他議事の妨害となる言動をしてはならない」と定めるが、違反しても罰則は無い。

 塩村氏は20日にも、会議規則でなく「侮辱を受けた議員は、これを議会に訴えて処分を求めることができる」とする地方自治法133条に基づき、発言者の処分を求める方針という。

 一方、都議会傍聴規則では、都議会の傍聴人がヤジを飛ばしたり騒いで議事を妨害したりすることは禁じられる。これに反したとして議長から退場を命じられれば、傍聴人は係員に会場外に連れ出され、当日は再入場ができない。