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格闘技コラム
齋藤彰俊に不知火を仕掛ける丸藤正道(上)。三沢光晴はどんな気持ちでリングを見ていたのだろうか。
photograph by Yukio Hiraku
格闘技特報

ノアが迎えた5年目の“あの日”――。
天国へ捧げたエメラルドフロウジョン。

橋本宗洋 = 文

text by Norihiro Hashimoto

photograph by Yukio Hiraku

 6月13日のプロレスリング・ノア後楽園大会は、『三沢光晴メモリアルナイト』として開催された。5年前、2009年のこの日に三沢はリング上で意識を失い、世を去っている。

 三沢が設立したノアは、いま窮地に立たされていると言っていい。離脱者が相次ぎ、興行的にも苦戦が続く。主力選手だった秋山準や潮崎豪は全日本プロレスに移り、屋台骨を支え続けてきたKENTAも今年4月に退団。アメリカでの活躍を目指していると噂される。

 ただ、6月13日にプロレスファンが後楽園ホールに集まったのは、ノアの現在を確認するためではなかったし、単純にプロレスを見て楽しもうというだけでもなかったはずだ。そうするには、この日は特別すぎた。

 会場併設の展示場には、三沢の追悼ブースが設置されていた。リングシューズやガウン、名勝負の写真が展示され、献花台も。全日本プロレス時代のタッグパートナーでありライバルだった川田利明も来場してサイン会を行なっている。

天龍と越中が“三沢が作ったリング”に上がる。

 試合が始まると、コミカルな試合を得意とする菊タローが三沢の動きを再現して拍手と歓声を誘った。外国人タッグのTMDK(マイキー・ニコルス&シェイン・ヘイスト)は、試合を終えると対戦相手の中嶋勝彦も誘って場内に飾られた三沢の写真パネルに一礼。

 休憩明けには『三沢光晴メモリアルマッチ』が3試合組まれた。そのうちの一つは、ノアのヒールユニット・超危暴軍(森嶋猛、マイバッハ谷口、大原はじめ)と天龍源一郎、越中詩郎、小川良成組の顔合わせだった。あくまでメモリアルマッチ。現在進行形のノアの流れとは関係のないマッチメイクだ。

 重要なのは、6月13日に天龍と越中が“三沢が作ったリング”に上がったということだった。天龍は三沢が尊敬した兄貴分であり、越中と三沢は若手時代をともにした仲。三沢のデビュー戦の相手も越中である。

 還暦を過ぎた天龍の動きは、当然ながら全盛期のそれとは違っている。だがファンは、それでも構わないのだ。動きは変わっても、気迫のこもった表情は変わらない。何より、天龍が今でもリングに上がり続けていることが嬉しい。ましてこの日は、三沢のために試合をしてくれている。それで充分だった。

【次ページ】 観客は、三沢に会いに来ていたのだ。

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