小田急線:脱線で相模大野−大和間は運転再開できず

毎日新聞 2014年06月20日 00時19分(最終更新 06月20日 01時10分)

小田急電鉄相模大野駅構内で脱線した車両=相模原市で2014年6月19日午後7時6分、本社ヘリから
小田急電鉄相模大野駅構内で脱線した車両=相模原市で2014年6月19日午後7時6分、本社ヘリから

 19日午後6時10分ごろ、相模原市南区の小田急電鉄相模大野駅構内で、車両基地を出た回送電車(6両編成)が脱線した。男性運転士(49)が乗車していたが、けがはなかった。事故の影響で停電が発生、小田急は一時全線不通となり、小田原線の新百合ケ丘−相武台前間と江ノ島線の相模大野−大和間は同日中に運転再開できなかった。終電までに上下計288本が運休し、約15万人に影響が出た。神奈川県警と小田急電鉄が原因を調べる。

 小田急電鉄の五十嵐秀・運転車両部長らは同日夜、国土交通省で記者会見し「ご迷惑をお掛けし、心よりおわびします」と陳謝した。現場のレールは大きく変形しており、20日始発の全面復旧を目指すという。

 小田急によると、基地を出て本線に入る途中で、回送電車の前から3、4両目、最後尾の計3両が脱線した。運転士は「信号が青になったのを確認して速度を上げたが、線路上の分岐(ポイント)を通過する際、通常と違う前後の揺れを感じた」と話しているといい、ポイント通過時に脱線した可能性が高い。

 3両目の車両上部のパンタグラフ(集電装置)が破損しており、脱線の際の過電流が停電の原因となった可能性がある。停電の影響で駅間に取り残された計6本の電車に乗客約4000人が一時閉じ込められ、最寄り駅まで線路上などを徒歩で移動した。

 県警によると、電車は基地を出て約1分後、時速約25キロで走行中に脱線した。運転士は「ブレーキを使うことができず20メートルほど走って止まった」と話しているという。

 相模大野駅は午後6時半ごろから、通勤や通学の足を奪われた乗客でごった返した。駅間で止まった電車に乗っていた会社員の佐和真弥さん(41)は「とにかく移動したいので振り替え輸送券をもらう」と話した。

 町田駅で足止めされた仕事帰りの会社員の男性(34)は「疲れているので、何時に家にたどり着けるか不安です」とため息をついた。【松浦吉剛、宮崎隆、高橋和夫、佐藤賢二郎、黒川晋史】

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