2014年06月20日
私が担当した電子書籍、絶版にしました
ところで、私が担当して出版した電子書籍、絶版にしました。
この書籍を企画したのは2010年。もう4年前だ。当時の電子書籍は、紙の書籍に比べ販売部数が1〜2%程度。つまり紙なら1万部出る本を電子化すると、販売部数は100部とか。
1500円で初版1万部の書籍なら、著者に入る印税は、10%で150万円。これが電子書籍では2万円といったところだ。
私が手がけたのは、紙の書籍を並行させない、電子書籍オリジナルの企画。売れないとはっきり言った上で、「一緒に新しい市場に挑戦しよう」と著者の方を口説いた。
とはいえ丸損を押し付けて書いたいただいたわけではない。そんなこと、申し訳なくてできない。そうではなくて、原稿自体、「原稿料」という形ですでに償却済みのものを書籍化した。
もともと書籍化の約束があって書いていただいたものではない。それに紙の書籍にするにはハードルが高すぎて無理と思われた。
なので電子書籍で多少とも売り上げれば、著者にとっては(金額の多寡は別にして)思わぬボーナスといったところだ。
そんなわけで電子書籍として発行したのだが、予想通り全然売れない。ウチとしてはオーサリング費用とか表紙イラストとかの外注費だけで赤字だ。編集費用とか事務費用をまったく考慮に入れなくとも。
売れないのは予測できたので、印税計算は半年に1回と頻度を落とした契約にしたが、そのたびに「印税●ひゃくえん」とかで、著者に連絡を入れるのも申し訳ないレベル。それに当時はまだ電子書籍の印税処理がウチの場合システムとして確立しておらず、担当編集者が半年ごとに各電子書店の売上データをもらってきて手作業で計算、起票しなくてはならなかった。
やたらと手間がかかる。銀行の振込手数料のほうが印税額より多いレベルでそうした計算をしていると、どうしても「不毛な作業」という言葉が脳裏をよぎった。
私は異動になったので、それは後任編集長に引き継いだ。しかし半年に一度のイレギュラーな作業、しかも自分の担当ではなかったとなれば、忘れられてしまう危険性がある。そのため、起票時期になると私がリマインダーのメールを打ったりしていた。
のだが、先日、後任のさらに後任編集長と話をして、絶版にすることにした。つまり、これ以上商品として並べていても、たいした印税をお支払いできるとは思えない。ビジネスとしての展望もない。手間ばかりかかる。
だったら著者の方には今後見込める印税額累計よりは豪勢な食事でも楽しんでいただいて、頭を下げて絶版にしようと。悔しいが、つまりはそうなった。
今は電子書籍を閲覧できる端末も増えているし読者層も増えているので多少はマシだが、当時はそうだったのだ。
電子書籍黎明期には「在庫コストがゼロに近いので絶版がなく、ロングテールで多様な書籍が売れる」とか夢が語られていたわけだが、まあ現実はこんなものだ。
印税支払いは一定額に達するごと、とかいう契約にしておけばロングテールも可能なんだろうが、そのようにするには業務システムを開発しなくてはならず、そのためのシステム投資額が問題になる。どこの出版社も、売上とコストと将来性を天秤にかけながら、進めているところだろうな。
この書籍を企画したのは2010年。もう4年前だ。当時の電子書籍は、紙の書籍に比べ販売部数が1〜2%程度。つまり紙なら1万部出る本を電子化すると、販売部数は100部とか。
1500円で初版1万部の書籍なら、著者に入る印税は、10%で150万円。これが電子書籍では2万円といったところだ。
私が手がけたのは、紙の書籍を並行させない、電子書籍オリジナルの企画。売れないとはっきり言った上で、「一緒に新しい市場に挑戦しよう」と著者の方を口説いた。
とはいえ丸損を押し付けて書いたいただいたわけではない。そんなこと、申し訳なくてできない。そうではなくて、原稿自体、「原稿料」という形ですでに償却済みのものを書籍化した。
もともと書籍化の約束があって書いていただいたものではない。それに紙の書籍にするにはハードルが高すぎて無理と思われた。
なので電子書籍で多少とも売り上げれば、著者にとっては(金額の多寡は別にして)思わぬボーナスといったところだ。
そんなわけで電子書籍として発行したのだが、予想通り全然売れない。ウチとしてはオーサリング費用とか表紙イラストとかの外注費だけで赤字だ。編集費用とか事務費用をまったく考慮に入れなくとも。
売れないのは予測できたので、印税計算は半年に1回と頻度を落とした契約にしたが、そのたびに「印税●ひゃくえん」とかで、著者に連絡を入れるのも申し訳ないレベル。それに当時はまだ電子書籍の印税処理がウチの場合システムとして確立しておらず、担当編集者が半年ごとに各電子書店の売上データをもらってきて手作業で計算、起票しなくてはならなかった。
やたらと手間がかかる。銀行の振込手数料のほうが印税額より多いレベルでそうした計算をしていると、どうしても「不毛な作業」という言葉が脳裏をよぎった。
私は異動になったので、それは後任編集長に引き継いだ。しかし半年に一度のイレギュラーな作業、しかも自分の担当ではなかったとなれば、忘れられてしまう危険性がある。そのため、起票時期になると私がリマインダーのメールを打ったりしていた。
のだが、先日、後任のさらに後任編集長と話をして、絶版にすることにした。つまり、これ以上商品として並べていても、たいした印税をお支払いできるとは思えない。ビジネスとしての展望もない。手間ばかりかかる。
だったら著者の方には今後見込める印税額累計よりは豪勢な食事でも楽しんでいただいて、頭を下げて絶版にしようと。悔しいが、つまりはそうなった。
今は電子書籍を閲覧できる端末も増えているし読者層も増えているので多少はマシだが、当時はそうだったのだ。
電子書籍黎明期には「在庫コストがゼロに近いので絶版がなく、ロングテールで多様な書籍が売れる」とか夢が語られていたわけだが、まあ現実はこんなものだ。
印税支払いは一定額に達するごと、とかいう契約にしておけばロングテールも可能なんだろうが、そのようにするには業務システムを開発しなくてはならず、そのためのシステム投資額が問題になる。どこの出版社も、売上とコストと将来性を天秤にかけながら、進めているところだろうな。
editors_brain at 08:00│Comments(0)│
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