「金目」発言:石原氏は撤回 野党は問責決議案を共同提出

毎日新聞 2014年06月19日 20時49分(最終更新 06月19日 21時00分)

参院環境委員会に臨み、委員の質問を聞く石原伸晃環境・原子力防災相=国会内で2014年6月19日午前10時42分、藤井太郎撮影
参院環境委員会に臨み、委員の質問を聞く石原伸晃環境・原子力防災相=国会内で2014年6月19日午前10時42分、藤井太郎撮影

 石原伸晃環境相が、東京電力福島第1原発事故の除染に伴う中間貯蔵施設建設をめぐる被災地との交渉に絡み「最後は金目(かねめ)でしょ」と発言した問題で、参院環境委員会は19日、集中審議を開いた。石原氏は「品位を欠き、誤解を招く表現だった」と陳謝し、発言を撤回した。辞任は否定した。これを受け、野党各党は同日、「極めて無神経で許し難い発言だ」として石原氏の問責決議案を参院に提出。20日には衆院に不信任決議案を提出する方針だ。

 石原氏は、自身の発言について「用地補償、生活再建、地域振興策の規模を示すことが重要な課題になってくるということを申し上げた。お金ですべて解決するというような意図ではない」と釈明。そのうえで「不快な思いを抱いた方が大勢いらっしゃる。心からおわびし、撤回させていただければと思う」と語った。

 質疑で増子輝彦氏(民主党)は「福島県民のほっぺたを札束でひっぱたくような発言だ」と辞任を迫ったが、石原氏は「職務をしっかりと丁寧に全うしたい」と否定。22日に今国会が閉会した後、謝罪のため福島県を訪れる考えを示した。

 これを受け、野党8党が参加する参院7会派の国対委員長が会談し、石原氏について「被災地の苦しみを理解していない」などと相次いで批判。「地元住民の苦しみを金で解決しようという極めて無神経で許し難い発言だ」と非難する問責決議案を共同で提出した。

 野党は20日、石原氏の不信任決議案を衆院に提出する構え。ただ、衆参両院とも与党が多数を占めており、両決議案は否決される見通しだ。

 一方、中間貯蔵施設の建設候補地となっている福島県双葉町の伊沢史朗町長は、石原氏の「金目」発言について「町民は感情を害している。私も町民から直接、憤りの電話を受けている。施設は大切だが、進展は厳しい状況だ」と改めて不快感を示した。

 同じく建設候補地である大熊町の渡辺利綱町長は「大臣の言葉は重い。慎重に発言してほしい」と苦言を呈したが、「失言にこだわり、(施設を巡る協議の)本質を見失わないようにしたい」と述べた。

 佐藤雄平知事は「今後、地元の要望に真摯(しんし)に向き合って対応することが大事と思う」と話した。【阿部周一、喜浦遊】

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