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アマゾンのスマホ”Fire”に驚かされたこと

アマゾンのスマートフォンFireが発表されました。凄い時代がやってきたなあと感じます。顔とスマートフォンの位置関係を感知して、3Dの画面を変化させたり、スマートフォンを傾けるジェスチャーで、指でタッチしなくとも画面がスクロールされるといった機能に驚いたのではなく、スマートフォンがもはやマーケティングツールのひとつでしかなくなったことに対してです。

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Amazon Fire Phone's Dynamic Perspective offers a new angle on smartphone displays - CNET

通信キャリアなら、高めの通信料金を設定し、通信料金のディスカウントによって、スマートフォンを「実質無料」と訴求することはこれまでもあったことです。利益は回線の利用料で回収できます。

しかしアマゾンは通信キャリアではないにもかかわらず、価格がAT&Tとの2年契約で199ドルからだそうです。しかも無料で一年間、年間99ドルのプライム会員になれるのです。ということは実質100ドル、つまり1万円のスマートフォンだということになります。

通信キャリアのAT&Tが絡んでいるとはいえ、このFireの登場で、スマートフォンのハードで利益を稼ぎ出さなければならないメーカーと、利益はハードからではなく、それによって別のサービスの利用が促進され、その売上が増加すれば利益を得ることができる企業との競争が始まるということになります。

後者の場合は、スマートフォンフォンは、テッククランチの記事にあるようにマーケティング・ツールとして活用することも可能になってきます。まさにアマゾンのFireはそのものずばりです。
結局のところFireの狙いはAmazonの上得意により多くの商品を買ってもらうことだ。Kindle Fireと同様、ユーザー個人向にカスタマイズされたサポート・サービス、MaydayがFireスマートフォンにも用意される。
Amazon、 独自スマートフォンFireを発表―3Dヘッドトラッキング機能を備えて199ドルから | TechCrunch Japan

アマゾンが、このスマートフォンFireにFireflyというオリジナル機能を搭載していることもそれを感じさせます。食品であれ、テレビ画面であれ、カメラで写したものを商品として認識して、1億を超えるデータベースをもとに、関連するAmazonの商品ページを表示して即座にアマゾンで購入できるというものです。
そこにあるモノ、全てを買える――アマゾン、「Fire Phone」正式発表。 – すまほん!!

これは便利そうですが、それでなくとも、お店で商品を確かめ、実際にはアマゾンで購入するショールーミングでリアルな店舗が打撃を受けているのに、お店で商品を撮影されて、アマゾンで購入されたらお店はたまりません。

アップルがAPPの販売でも利益をあげる、ライバルのハードメーカーからすれば涎のでそうな美味しいビジネスを展開していますが、いやはやこうなってくるとハードの機能競争が虚しく見えてきます。競争が製品対製品はひとつの側面に過ぎず、実質はビジネスの仕組み対仕組みの競争に移ってきます。

もちろんハード性能やデザインなどで選んでくれるユーザーがいないわけではないですが、ビジネスという視点からみれば、もうそういったハードの機能競争という手段しかもたないメーカーにとってはほんとうに辛い時代の幕開け宣言をアマゾンが行なったというように見えてきます。

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