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総長メッセージ

城田憲子氏インタビュー (2003年6月20日)


6月10日(火)、総長室の応接室で、日本スケート連盟理事、フィギュアスケート強化部長の城田憲子氏(本学心理学科卒)と押見輝男総長との対談を行いました。

Q: フィギュアスケートの大会や選手育成のために海外を忙しく飛び回っていらっしゃいますが、外から見た日本や立教についてどう思われますか? 


城田憲子氏と押見輝男総長


一昨年のテロはショックでした。その後イラク戦争、SARSなどテレビでは世界中で同じような映像と情報が流れています。一番感じたのは、アメリカやヨーロッパなどはいたって平常心でそれぞれの責任において行動しているのですが、日本は島国であるゆえなのか、情報が過剰で国民がそれに踊らされ、過敏になっていると思います。過剰な情報(報道)の中で、いかに必要な情報を取捨選択するかがとても大切です。また、今の学生さんは、いずれ社会に出て、いろいろな仕事につくと思いますが、立教大学で学んだ学生として、「これぞ立教!」というものを外に出していく使命があると思います。胸を張って「立教大学」というゼッケンを背負って出て行って欲しいと思います。そのためには入学した時点で、総長から「立教に入ったら目的に向かって見通しと筋道を立て、間違っていたら修正を加えながら進むのだ」ということをしっかり伝えてはいかがでしょうか。


Q: 城田さんが強化部長になってから、どんどんいい選手が出て来ましたが、何かコツがあったのですか?

 選手を預かって最初にしたのは「しつけ」です。3日一緒に過ごすと、その選手の家庭がわかります。朝起きたら「おはようございます。」、目上の人の前を通るときは「失礼します」、食事の時は「いただきます」、「ごちそうさま」など、挨拶と頭を下げることを最初に教えます。またオリンピックや世界選手権大会に行く人たちにはテーブルマナーを教えます。基本的な生活習慣は親や先生の責任ですが、世界レベルの試合に連れて行くためにはそこから鍛えないといけないのです。若い選手は非常に弾力性があり、すべてを受け身で受けるので、その中から良いものをチョイスすれば良いのですが、「悪い」と思うことも自分の中に入れてしまいます。つまり、自分が親から受け継いだ核たる部分と、外から得た知識がぴたっとあえば良いのですが、あわないとどちらを取って良いかわからず、悪い方に流れてしまうことが多いようです。それを矯正するのが私たちの仕事でもありました。また、常に感謝の気持ちを持つように指導してきました。若い選手達にとっては鬼に見えたと思います。(笑)


Q: 「しつけ」の次には何をなさったのですか?

急いで技術を練習させても間に合わないので、とにかく見栄えを良くすることから始めました。具体的にはプログラム構成に手をつけました。フィギュアは華やかで見た目の印象と心に響くものが必要です。音楽と表現との調和が審判員、観客やマスコミに対してのアピールになると考え、強化費をかけて世界的な振付師を招きました。またコスチュームも洗練されたものを作るようにしました。
  ただ、それをやっても技術が伴わないので、結果が花開くまでには時間がかり、随分批判もされましたが、継続を持ってやるしかなかったのです。「継続は力なり」ですから。 外国から振付師やコーチを呼んだり、選手や日本のコーチを海外に派遣したりを繰り返していくうちに、日本人で力のある人は、「自分達だって出来る」とか「外国の人に負けたくない」という競争意識で実力をつけてきました。
 一方で有望新人の発掘にも力を入れました。原石が100人いると光るものを感じる新人は1割います。可能性を感じる新人に力と強化費を投入し、小さいうちから国際派遣を経験させ、育ってきたのが今活躍している本田武史、荒川静香、安藤美姫、太田由希奈です。


Q: 世界のレベルに押し上げるのは大変だったと思いますが?

 そうですね。自分が海外に行って、いろいろな方に会って出来ない英語でコミュニケーションをとらなければならないのですが、言葉で表現できない部分は身体や信念で補うことが出来ます。日本語で相手を説得できない人は、いくら英語が堪能でも相手を説得させることは出来ません。信念と例えばスケート専門用語を使うことによって相手を説得することが出来るのです。そういったロビー活動を展開しながら世界中に友人をたくさん作って、世界中に助けてくれる人たちを作ることが出来ました。


Q: 若い人のエネルギーをどう引き出すかというお話のひとつの解決策になるかどうかわかりませんが、立教ではボランティア活動を組織的にサポートしていこうと考えています。

 それはとても必要なことだと思います。実は昨年からですが、お誘いがあってボーイスカウトの活動を手伝っているんです。ボーイスカウトでは、たとえば救急時の応急措置とかを教えているんですが、実際に役立つことを教えることはとても大切なことだと思います。役立つことを教えて、しかも団体行動ができるというのがいいと思うんですよ。でも、ボーイスカウトに入らなくても普通に小学校なんかでもそんなことができるといいと思いますが。


Q: 選手には個性がありますが、どのようにして個性を生かしてきたのですか?

 怒っていい個性、ほめれば100倍良くなる個性などありますが、選手というのは強さと弱さをあわせ持っています。ちょっとしたミスで自信をなくすと立て直すことが出来ない。伊藤みどりがそうでした。私は大体怒ることが多いのですが(笑)怒るときには周囲の人に、その後の選手の様子について耳に入れてもらい、もし、「落ち込んで泣いていた」というのであれば、あとで食事に誘って、競技に失敗はつきもので、次の大会もあるのだからもっと自信を持って、絶対に出来るという気持ちで演技をしなさい。「心配しなさんな」と肩をぽんと叩いてあげるのです。するとあとで周囲から「何だかとても元気になりましたよ」という連絡が入ります。やはり、怒りっぱなしではなくフォローが必要です。


Q: 緊張しやすい選手もいるかと思いますが、試合の時に全力を出せるようにするコツはあるのですか?

監督もあがってる時がありますが。(笑) リンクの横で見ていると、演技する前の選手が「助けて」という目で私を見るのです。そんな時は必ずミスをするので、演技の前の選手の目は絶対に見ないことにしました。特に男子選手は弱いですね。


Q: 一般に女子学生が元気で、男子学生は元気がないと言われますが、どう思われますか?

 少子化社会で特に母親は男の子をとっても大事に育てていますから、そのまま大学生になっているのだと思いますよ。私にも娘と息子がいますけど、そうでした。ある意味、外(フィギュア)の強化は出来たけど、城田家の強化は出来ていないと思います。(笑)


Q: 最後になりましたが、城田さんにとっての立教大学とは何だと思いますか?

ふるさと、オリジンでしょうか。私はいつも周りの人に恵まれています。特に立教の精神は「他人を助ける」だと思います。娘は慶應、息子は立教ですが、全く違います。慶應は独立自尊で、まず自分が出来てから他人ですが、立教は、まず他人を先に助けてから自分です。それで自分自身は立ち遅れたりするのですが、非常に人が良いので周囲の信頼はとても厚いです。社会に出たとき、何も知らない私を育ててくれた立教大学の先輩方は大変優秀でした。そこから多くの事を学んだと思います。   立教大学はマンモス大学ではなく、ある程度コンパクト化された大学ですが、人間はコンパクト化されることなく、お互いの交流を深め、それぞれが自分の足りない部分を吸収しあって、世界に通用する人間になって欲しいと思います。そういう人材を育てるには土台になる立教大学がしっかりしていればしっかりしているほど、世界で活躍する人が増えていくのではないでしょうか。   立教大学と、学生がお互いを土台にして世界で活躍していくことを心から期待しています。学生の皆さんは学生時代にたくさんの事を経験し、いろいろな人と出会って、自分の引出しを増やし、中身を詰め込む作業をして下さい。

本日はお忙しいところ、ありがとうございました。トリノオリンピックでの日本の活躍、期待しています。


インタビュアー(佐々木:総長室企画課)から一言
城田さんは、大きな瞳が印象的な方でした。お話をしていると、小さな身体にたくさん詰まったエネルギーを感じました。また、立教大学への思いを熱く語ってくださいました。下のお子さんが小学校に上がってからはじめたお仕事で、実績を重ね、現在は要職につかれています。女性のライフスタイルとして、一つのお手本になるのではないでしょうか。焦らず慌てず、人生と世界を見据える。そういう生き方がとても魅力的でした。

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