マイページ | 新規会員登録 | オンライン版について

定期購読のお申し込み | 月刊「FACTA」のご案内 | よくある質問 | ご意見・お問い合わせ | サイトマップ

阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

もういちど「ソニー病」3――太鼓もちメディア

2006年12月21日 [ソニーの「沈黙」]

ITMediaはソニーの太鼓もちかね。

12月20日20時28分配信の「Felicaの暗号が破られた?――ソニーは完全否定」という記事を書いた記者は、ソニーの言い分を鵜呑みにしただけである。

当方には電話で数分聞くだけの手抜きで、それでもって記事をすぐ書いてしまう厚顔無恥が信じられない。メディアがメディアに取材して、「本当ですか?」とか、「ソニーは否定していますが」とか聞いてどうするのかね。愚問である。こういうのを御用聞き記者という。魂胆が透けて見えるから、こちらも手の内は明かさない。それだけのことだ。

ITMediaは単に、FACTAへの取材に失敗しただけなのだ。「客観的に見て、説得力に欠ける内容になっていることは否めない」と評しておられるが、冷たくあしらわれた腹いせですかね。

追っかけ取材の礼儀を教えてあげましょう。まず、自分独自のソースを持ちなさい。電話取材ですまそうなんて甘い。誰もほんとのことなんか言いやしない。この記事はソニーの広報とFACTAに電話をかけただけで、ベンダーや暗号の専門家、felicaのユーザーに取材した形跡がない。

かわいそうなものだ。3分の1はFACTAの記事の引用、3分の1はソニー広報の言い分の引用、最後はご自分の判断とFACTAのコメントである。かろうじて体裁を整えているだけで、足弱記者の典型と言っていい。引用とまた聞きだけで一丁あがりなのだ。

ひとつだけ、お尋ねする。共通カギと公開カギって分かってますか。暗号のイロハですよ。

記事は情報源の秘匿などさまざまな配慮から、取材した事実をすべて書くわけではない。キンシャサでジョージ・フォアマンと戦ったモハメド・アリのように、ロープを背に「来い来い」と誘う戦法でもあります。書くのは5-6割、残りは第2弾用に温存、というのが調査報道の鉄則なのだ。

それも知らないのは、ITMediaが実地の調査報道取材をしていないからである。FACTAは、電話と検索で安易にニュースをこしらえるメディアのアンチテーゼをめざしている。だから、誰が情報提供者かと、鵜の目鷹の目のソニーにスキを見せるつもりはない。

真実を追究する資質と経験がない人には何を言っても無駄である。

投稿者 阿部重夫 - 18:00| Permanent link | トラックバック (1)


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://facta.co.jp/generator/mt-tb.cgi/284

FACTAの取材力って?
From: りんご餅
Excerpt: Felicaの暗号が破られたらしいという記事ですが、どうも眉唾です。 誌面をスキャンした画像ファイルを見たのですが、Itmediaのいうとおり、具体的な記...
Tracked: 2006.12.25 04:25

※記事の内容に無関係なトラックバックにつきましては、削除させていただく場合がございます。ご了承ください。トラックバックが正常に動作しない場合はsupport@facta.co.jpまでご連絡ください。

発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

カレンダー

2006年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

ブログ更新通知 [RSSフィード]

RSSとは記事のタイトルや概要を配信するための技術です。RSSに対応したソフトウェアやサービスを利用すると、最新の記事のタイトルや概要が取得できます。詳しくは「RSSフィードについて」をご覧ください。

当ブログは以下の規格に対応しています。

RSS 1.0
RSS 2.0
ATOM