ネット:天皇陛下の写真アップはOK? 著名人は? 知っておきたいプライバシー基礎知識
2014年06月19日
ツイッターなどを使ってアイドルやタレントら著名人の写真が気軽にインターネット上で掲載されている状況が最近、目に付きます。これは、法律には触れないのでしょうか。5月下旬には、旅行中の天皇、皇后両陛下を撮影したとされる1枚の写真がネット上で瞬く間に拡散しました。両陛下の写真を撮影してアップロードしていいのかどうか、賛否が分かれる事態に発展しました。著名人の写真を撮影して公開することに対する法的な判断について、ネット上のトラブルに詳しい深澤諭史弁護士は「両陛下のケースは違法ではないと考える。しかし、著名人だからといってすべてが許されるわけではない」と指摘しています。【馬場直子/デジタル報道センター】
両陛下は5月21、22日に栃木、群馬の両県を私的旅行で訪問されました。話題になった写真は、栃木県小山市のJR小山駅に到着した際に撮影されたもののようです。ツイッターにアップされると、たちまち大きな話題になりました。
写真を見ると、両陛下ともカメラの方向を向いてほほ笑まれ、天皇陛下は右手を上げて応えていました。この写真について、ネット上では「すてきな笑顔」との声が上がる一方、「不敬だ」「(撮影したのはともかく)不特定多数への公開はまずかった」という批判も出ました。現在は撮影者のアカウントも含め削除されています。
宮内庁報道室は天皇陛下の写真の撮影やネット上での公開について、「個人で行うなど常識の範囲内ならば問題ない」との立場を示しています。今回は公務ではありませんが、報道室は「プライベートな旅行といっても訪問された様子は公表され、天皇陛下も駅や車中で手を振られていた」とし、まったく私的旅行とはいえない模様です。
では、撮影や公表が違法かどうかを明確に線引きできるのでしょうか。深澤弁護士によると、写真の公表は撮影された人の肖像権とプライバシー権が問題になり得ますが、いずれも法律に明確な定めはありません。このため、個々のケースでそれぞれ判断していかなければならないそうです。
まず撮影するという行為です。判例では「人は正当な理由なく顔などを撮影されない人格的権利を持っている」とされています。つまり、他人を好き勝手に撮影すれば、撮られた人の法律で保護されている権利を侵害することになるという意味です。
ただ、全ての撮影が直ちに違法となるわけではありません。無断撮影は基本的にだめですが、事情によっては許される場合もあると解釈されています。