アマゾンFire Phone即行ハンズオン、アマゾンにとっていい端末

2014.06.19 11:35
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アマゾン初の電話端末Fire Phoneがついに発表されました。Dynamic PerspectiveやFireflyなど目玉となる機能をもってスマートフォン業界に現れた新たな刺客…。一体、触り心地はどんなもんなの? 米Gizmodoがさっそく触ってきましたので、ハンズオンレビューをどうぞ。



触ってみて思ったのは、正直「うーん…」ということ。さて、詳しくみていこう。


ハードウェア


ハードはなかなか悪くない。前からみると少々iPhone 5ぽいが、4角にあるドットがオリジナリティとなっている。ちなみに、この4つのドットはカメラ。スクリーンもいいのだが、残念なのは他社モデルのスタンダードである1080p対応ではなく、720pだというところ。


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製品クオリティもいい、しっかりしている。がっしりした見た目だが特に重いということもない。握りやすいようにサイドはゴムで加工がしてあるが、背面はツルツルだ(なので場合によっては、側面ゴム加工もむなしく落とすこともあるだろう)。

正直なところ、端末のデザインとして魅力的かというとそうでもない。例えば、1番厚いところで比較すると、HTC One M8よりも薄いのだが、Oneの丸みのあるボディは実際の数字よりも薄いように感じさせてくれる。シンプルというと聞こえがいいが、特にこれといったことがないデザインだと言える。なかには、不格好と感じる人もいるかもしれない。


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一方でカメラは好印象。ほんの少ししかカメラをいじる時間はなかったが、反応もよく写真もよかった。とはいえ、ダイナミックレンジでちょっと問題があるような気がするけれど(HDRモードがあるのでそれが解決策になる可能性もあり)。

スピーカーは期待はずれ。Kindleタブレット端末のスタンドアウトオーディオと比べてがっかり。音が小さい。


Dynamic Perspective


3Dを可能にする機能がこれ、Dynamic Perspective。端末をのぞく顔が2つになっても、パニックにならなかったこの機能には驚いた。どの顔がどのように見ているかをダイナミックに切り替えているが、その切り換えもなかなかスムーズ。2人の顔が隣同士近くにあれば、どっちの顔を選んで認識しても変わらないので問題なし。



が、この機能を使うかと言われるとなんとも言えない。使い勝手がなさそうな、少なくとも今のところはなさそうな感じ。ベゾス氏とデモを行なったチームは、いかに直感的な操作かを売りにがんばっていたけれど…。地図では、顔を横にふると情報レイヤーのオン/オフが可能になるし、アマゾンストアにて端末を傾ければ、商品のズームアップや後ろから見ることができる。しかし、すでに慣れ親しんだタップ操作と比べて、ものすごく直感的になったかというとそうでもない。

何よりもちょいちょいバグがでてくる。もちろん、これがソフトウェアの最終段階じゃないのもわかるが、それでもバグが気になった。傾け操作は時に認識されず、デモでも結局指で操作する場面があった。

ハンズオンで、顔トラッキングを使うゲームをいくつかやってみたが、やはりバグバグしい。こうなると、ゲームのプレイ方法としては楽しくない、はまれない。加えて、この機能を使うには、ゲーム開発者側が今すでにあるゲームをこのDynamic Perspective用に再開発せねばならなくなるのだが、果たしてそれをするだろうか? そんなやる気が起きるだろうか。

もちろん、中にはこの機能を使ってとても面白いことを思いつく人もいるだろう。が、一般的には、やはりギークなギミックにすぎないのではないか。新テクノロジーに対して絶賛したい気持ちはある。しかし、今のところは特に絶賛する理由が見つからないのだ。


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ソフトウェア


うーん。iOSにもAndroidにもWindows Phoneにもレベルが達していない。もっと言えば、競合モバイルOSにかなり遅れをとっている。採用されているOSはFire 3.5、これはAndroid 4.2.2のフォーク版だ。問題なのは、BLE (Bluetooth Low Energy)サポートは、Andoir 4.3以降対応だということ。つまり、Fitbitsや心拍モニターなど、最近のあるある系のBluetoothアクセサリが使えないということ。しかし、ハード自体はサポート可能なので、これはOSのアップデートに期待しよう。

悪いことばかりじゃない。いいUIもある。コンテンツをホーム画面にピンで留めておける機能は素晴らしい。重要なメールなんかをメモ感覚で見ることができて便利。デモでベゾス氏が行なったいくつかの機能はローンチまでは使えないということで、ハンズオンではチェックできなかった。


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目玉の1つとなる地図機能。アマゾンの地図は、NokiaのHEREマッププログラムのデータを元にしてるが、レンダリングなどはアマゾンが行なっている。Dynamic View で見る地図はなかなかクール。ターンバイターンディレクションもついている。が、公共交通機関の情報はない。これは多くの人にとって痛手だろう。アマゾン曰く、対応準備中ということなのでここも今後に期待しよう。

マルチタスク機能がないのも他社にひけをとることの1つ。アプリの切り換えが面倒くさいことこの上なし。1度ホームボタンを押してから、またアプリを探すのだ。あぁ面倒くさい。

加えて言えば、特に直感的とも思わないのが正直な感想。グリッドモードとカルーセルモードの切り換えや、端末を右に傾けてメインアプリのリストを出すという機能があるものの、はっきりいってわかりにくい。混乱してしまう。いろいろ出てくるのだが、どれがなんだか。


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カスタマイズがほぼできないのもつらい。もちろん、まだOS最終段階ではないのだが。


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Firefly


ソフトウェア面で1つ抜きん出ているものがあるとすれば、それがこれ、Fireflyだ。アマゾンはかなりの時間をこれに費やしたのだろう。どんどんアマゾンから買って下さいね、という機能なので当たり前なのだが。

デモでは、壁一面に並んだ商品をスキャンしたのだが、これがまぁ早い早い。しっかり動く。これだけ簡単で確かならば、そりゃアマゾンでの買い物も増えるだろう。

実用的なだけではなく、そのデザインも美しい。輝くホタルが画面で動く様子はなかなかいい。

ハンズオンでは、準備された大抵の商品の読み取りに成功した(自分が持っていたCanon 6Dは読み取り失敗、箱にはいってなかったからかな)。

読みとったものは、即座に情報を表示。驚くことに、流れていた映画「マトリックス」を読みとると、それが映画のどこ(何分)あたりかまで表示するのだ。その賢さは一級品。


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今回の発表で1番の成功は間違いなくFireflyだといえる。もちろん、ここから生まれるであろうアマゾンの利益を考えれば当たり前のことなのだが。

ハンズオンでこの端末を触るのをものすごく楽しみにしていたが、触った後は興味をそがれてしまった。ちょっとしたギミックはあるものの、他社にはある必須ともいえる機能はない。そのマイナス点を、Dynamic Perspective機能と24時間対応サポートボタンで全てカバーするのは、さすがに無理がある。


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印象深かったのは、アマゾンが最も注力したであろうFirefly。アマゾンでのショッピングをより簡単で便利にする機能。この機能を何よりも優先させたのは明白で、ユーザー目線で見るとどこか冷めてしまう。今後のアップデートで、いろいろ改善されてはいくのだろうが、今冷めてしまったのは消せないだろう。

繰り返しておくが、これは発表時のハンズオンであり、7月下旬の発売時のものとは異なるところがあるはず。あくまでも、これは最終段階ではないものに触れた感想だ。真のレビューは商品が発売されてからが本番。

ただ、今Fire Phoneで言えるのは、「うーん…」といういまひとつな感想のみ。




なんとも手厳しいハンズオンとなりましたね。ユーザーよりもアマゾンを優先した端末である、と。アマゾンらしいっちゃアマゾンらしいですけどね。


Brent Rose - Gizmodo US[原文
(そうこ)

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