モダンジャズの歴史をおいかけた読み物は、すくなくない。このCDを聴きなさいとすすめてくれる本は、たくさんある。ジャズ史上にかがやく巨星たちのおもしろい逸話も、数多く紹介されてきた。しかし、彼らがのこした作品の、どこがどうきわだっているのかを説明してくれる本は、あまりない。くりかえし聴け、聴きこめばわかるという論じっぷりで、多くの本はそこをにげてきた。
これは、音楽学者の岡田がプロのストレンジに、ジャズの勘所をたずねたインタビューの本である。オーネット・コールマンは、なぜあのような音をだしたのか。ジョン・コルトレーンの響きは、何がどう画期的だったのか。そういったことを、わかりやすくつたえようとする。新鮮なエピソードの披露もあるが、音と響きにこだわった解説のこころみである。
岡田の耳にも感心するが、ストレンジの読み解きには、あちこちで目の中の鱗(うろこ)をおとされた。これまで自分は、何を聴いてきたんだろうと反省する。カタカナ表記も、類書の慣例にはしたがわない。マイルスではなく、英語の音に近いマイルズとなっている。これもまた、音へのこだわりか。
★★★★
(風俗史家 井上章一)
[日本経済新聞夕刊2014年6月18日付]
★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
岡田暁生、フィリップ・ストレンジ
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