石原環境相:金目発言に福島県議会抗議 波紋広がる

毎日新聞 2014年06月17日 21時18分(最終更新 06月17日 23時07分)

 石原伸晃環境相が福島第1原発事故の汚染土などの中間貯蔵施設を巡る被災地との交渉について「最後は金目(かねめ)でしょ」と発言した問題は17日、さらに波紋を広げた。政府・自民党は引き続き国会で石原氏から真意を説明させる方針だが、福島県議会が石原氏宛てに発言撤回を求める抗議文を送るなど被災地の反発は収まらず、野党は衆参両院で閣僚不信任・問責決議案を提出する検討に入った。

 石原氏は17日の参院環境委員会などで「誤解を招いたことを心からおわびしたい」と陳謝したが、発言の撤回については「正式な会見で話したことではない」と否定。菅義偉官房長官は同日の会見で、石原氏が発言した16日夜に同氏に電話し、謝罪するよう指示したことを明らかにした上で「被災地に寄り添う安倍政権の方針は何ら変わるものではない」と強調した。

 福島県議会の平出孝朗議長名の抗議文では「住民の疑問に対し十分な説明がなく」「将来への不安に苦しんでいるところ」で、環境相の発言を「住民の尊厳を踏みにじるものであり、到底容認できるものではない」と批判。「大臣自らが真摯(しんし)で誠意のある対応を住民に示すよう求める」とした。

 民主党、日本維新の会など野党7党は17日に国対委員長会談を開き、石原氏の真意をただすため、国会答弁を求める姿勢で一致した。自民党も19〜20日に衆参両院の環境委員会の開催に応じる方向だ。野党各党は18日に幹事長・国対委員長会談を改めて行い、石原氏への不信任・問責決議案の提出についても検討する。

 政府は福島の復興加速化のため、中間貯蔵施設の来年1月までの稼働を目指すが、石原発言の余波で地元同意が遠のく可能性もあり、政府関係者は17日、「どの程度の影響が出るかは予断を許さない」と語った。

 与党内にも擁護論はない。自民党の野田聖子総務会長は「自分が言われて傷つくことは私たち国会議員が一番分からないといけない。不用意な発言だ」と突き放した。党内からは、通常国会閉会後の内閣改造で「石原氏の交代は避けられない」(中堅議員)との声が広がる。【木下訓明、光田宗義、岡田英】

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