集団的自衛権:公明議員、自民新3要件案に異論噴出 

毎日新聞 2014年06月17日 21時27分(最終更新 06月17日 23時15分)

 集団的自衛権の行使容認を巡る与党協議を受けた公明党の17日の国会議員の会合で、自民党が示した自衛権発動の「新3要件」案に異論が噴出した。行使容認の閣議決定を急ぐ安倍晋三首相に引きずられて「一部容認」に転じた執行部に対し、憲法解釈変更に慎重な従来の党方針に立った反対論も出た。党内の意見集約の道筋は全く見えず、党幹部は「ゴールは相当遠い」と漏らした。

 「被爆国として個別的自衛権の範囲でやりくりしながら、不戦の誓いを守ってきた。それを破るのか」

 「容認論は憲法の精神から離れてしまっている」

 この日の党会合ではベテランや中堅議員を中心に、政府・自民党の前のめり姿勢や与党協議の進め方に批判一色となり、与党協議の座長代理の北側一雄副代表は「まだ与党協議は続いている」と釈明に追われた。

 新3要件案が、他国への攻撃でも「国民の権利が根底から覆されるおそれ」があれば集団的自衛権の行使を認めている点に対しては「『おそれ』では行使の範囲が広がりすぎる」との批判が続出。「他国といえば世界中だ。より限定すべきだ」という懸念もあり、発言した約20人中、新3要件の案をそのまま認める声はゼロだった。北側氏は19日の次回会合でも意見集約は難しいとの見方を示した。

 党執行部は行使容認の閣議決定を譲らない首相に押され、「一部容認」で行使の範囲を狭めたとアピールする戦術に転換。幅広い容認を勝ち取りたい政府・自民党とせめぎ合いを続けている。弁護士で安全保障政策にも精通し、「公明で最も硬い一人」と目された山口那津男代表は17日の記者会見で「与党協議で議論を尽くしてほしい」と疲れた表情で繰り返した。

 だが、この急速な方針転換に、「平和」を党是としてきた党所属議員や支持母体・創価学会の現場は追いつけない。北側氏が党内に与党協議の結果を持ち帰る度に、執行部が自民党と大筋で一致している「グレーゾーン事態」への対応についてさえ、基本的な質問が殺到。執行部と他の議員らの認識のズレが、議論の遅れにつながっている。

 山口氏らが重視してきた「従来の憲法解釈との整合性」を保とうと、執行部は集団的自衛権の行使を否定した1972年の政府見解を行使容認の根拠にしたい考え。だが党会合では「同じ72年見解から、逆の結論を導いて整合性が取れるというなら、きちんと説明してほしい」と真っ向から疑問が上がった。

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