集団的自衛権:会期内の与党合意困難 公明から異論
毎日新聞 2014年06月17日 21時37分(最終更新 06月18日 01時19分)
集団的自衛権の行使容認など安全保障法制の見直しに関する与党協議は、22日までの今国会会期中の合意が困難な情勢となった。政府が17日の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、自民党が示した自衛権発動の「新3要件」案を踏まえ「自衛のための必要最小限度の実力行使が許容される。『武力の行使』は、国際法上は集団的自衛権が根拠となる」と明記した閣議決定原案の概要を提示したのに対し、公明党の会合で異論が相次ぎ、意見集約が見通せなくなったためだ。
安倍晋三首相は20日に公明党の山口那津男代表と会談し、早期の与党合意と閣議決定に協力を要請する方針。首相は7月上旬、豪州などを訪問する予定で、政府は与党合意を得たうえで、遅くとも外遊出発前の同月4日までには閣議決定し、秋の臨時国会に提出する関連法案の準備に必要な時間を確保したい考えだ。
協議会に提示された原案の概要は(1)日本への武力攻撃には至らない「グレーゾーン事態」(2)国際社会の平和と安定への一層の貢献(国際協力など)(3)憲法9条の下で許容される自衛の措置(集団的自衛権)(4)今後の国内法整備の進め方−−の4項目で構成されている。
協議会座長の高村正彦自民党副総裁が示した「新3要件」案は閣議決定原案の(3)に「検討中」として盛り込まれ、「わが国または他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」がある場合、集団的自衛権の行使を容認すると位置付けた。
これに対し、公明党内では「おそれ」について「明確ではない。主観的な判断が入る」などとして「切迫した事態」など、より限定的な表現に改めるよう求める声が上がっている。また、「他国」についても「対象が広すぎる」として「密接な関係にある他国」に修正すべきだとの意見がある。
17日の自民党の会合で、高村氏は「公明党から何らかの要請があれば『おそれ』について、(集団的自衛権に関する)8事例ができる範囲で柔軟に対応したい」と語り、修正協議に前向きな姿勢を示した。また、防衛省幹部は「『おそれ』も『切迫した事態』も同じ意味だ」と述べた。
一方、公明党の会合では、「議論されている事例は現実味がない」などの批判や「個別的自衛権に限定したのは戦後日本の『不戦の決意』だ」などと集団的自衛権の行使に反対する原則論を主張する議員も出た。