砂川事件:元被告ら再審請求 米公文書を新証拠として提出

毎日新聞 2014年06月17日 20時39分(最終更新 06月17日 23時52分)

東京地裁に「砂川事件」の再審を請求後、記者会見をする元被告の土屋源太郎さん(右)と元被告の坂田茂さんの長女・和子さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2014年6月17日午後3時37分、内藤絵美撮影
東京地裁に「砂川事件」の再審を請求後、記者会見をする元被告の土屋源太郎さん(右)と元被告の坂田茂さんの長女・和子さん=東京・霞が関の司法記者クラブで2014年6月17日午後3時37分、内藤絵美撮影

 1957年7月、東京都砂川町(現立川市)の米軍基地内に基地拡張に反対する住民らが立ち入った「砂川事件」で、刑事特別法違反罪の有罪が確定した土屋源太郎さん(79)ら元被告と遺族4人が17日、東京地裁に再審を請求した。1審無罪を破棄した上告審を担当した田中耕太郎最高裁長官が最高裁判決前に駐日米大使と密談したとする米公文書が2008年に見つかったことから、公平な裁判を受ける権利を定めた憲法に反するとして、免訴を求めた。

 事件を巡っては、東京地裁が59年3月、駐留米軍を違憲とした上で土屋さんらを無罪としたが、検察の跳躍上告を経て最高裁が同12月に判決を破棄。東京地裁の差し戻し審が罰金刑の有罪とし、確定した。

 弁護団は発見された米公文書のうち、大使が米国務長官に送ったとされる電報などを新証拠として提出。密談の結果として審理日程が事前に伝わるなどしていると主張、無罪判決を覆した最高裁の審理は破棄されるべきだとした。

 東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した土屋さんは「長官が米国と接触したことに怒りを覚える。判決は不公平だ」と訴えた。砂川事件の最高裁判決については、政府が集団的自衛権の行使を容認する根拠とした経緯もあり、「国会会期中に再審請求し、集団的自衛権の行使容認に『ノー』をはっきり突きつける必要があった」とも話した。【川名壮志】

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